損失回避loss aversion
損はしたくない
- たとえば…
- 買い物に使えるポイントが明日、失効すると聞いて、ともかく今日、使い切ってしまおうと、急いで買い物を追加した。
あなたはある日、突然、10万円をもらえることになったとします。そのとき、あなたはどれくらい嬉しいでしょうか。では反対に、10万円を失うことになったとしたら、どれくらい悲しいでしょうか。この2つを比較したとき、どちらの場合の感情のほうが強く感じられるでしょうか。
- 10万円をもらった場合の嬉しさの感情のほうが強く感じられる
- 10万円を失った場合の悲しさの感情のほうが強く感じられる
同じ金額であっても、それを損失する場合の方が、それを取得する場合よりも、ずっと強い感情を経験することが知られています。つまり、例題のような場合、多くの人は10万円を失ったときにより強い悲しみを覚えます。このように損失と利得が私たちのこころにもたらす影響は非対称的です。そして、人間はこのような性質を持つために、現在手にしているものを失うことに対して敏感で、それを回避しようとする強い傾向性を持っているとされます。このことを損失回避といいます。現状維持バイアスや保有効果は、この損失回避という傾向から派生した効果だと考えられています。
【参考文献】
カーネマン, D. 村井章子（訳） (2014). ファスト&スロー(下) 早川書房
