虚記憶false memory
それは本当にあったこと?
- たとえば…
- 子どもの頃に迷子になったことがあると思っていたのに、家族に聞いたらそんな事実はなかった。
まずは、次の単語を覚えてください。
鳩、戦争、広島、世界、愛、憲法、緑、国連、のどか、安全、望む、自由、日本、穏やか、長崎
宮地・山(2002)より
先ほど覚えた単語のリストに「平和」という単語はありましたか?
実はこのリストでは、実際にはないにもかかわらず、「平和」という単語を多くの人が”思い出してしまう”ということが分かっています。ほかに提示されていた単語がどれも「平和」と関連が深いものだったため、しらずしらずのうちにそこから「平和」を連想してしまい、きっと「平和」という単語があったはずだと思い込んでしまったのです。
このように私たちの記憶は、見たこと、聞いたことをそのまま蓄えているわけでなく、ときには実際には起こっていないことを、起こったこととして誤って思い出してしまうことがあります。これを虚記憶と言います。ロフタスが行った研究によれば、誘導の仕方次第では、「子どものころにショッピングモールで迷子になった」というありもしない経験を事細かに思い出すことさえあるということです。
【参考文献】
宮地弥生・山祐嗣 (2002). 高い確率で虚記憶を生成するDRMパラダイムのための日本語リストの作成 基礎心理学研究, 21, 21-26.
Loftus, E. F. (1997). Creating false memories. Scientific American, 277(3), 70-75.