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予言の自己成就self-fulfilling prophecy

噓から出た実(まこと)

たとえば…
たぶん嫌な奴だと思って付き合ってみたら、本当に嫌な奴だった。

考えてみよう

ある日、あなたは電車のなかで、乗客が「○○銀行は危ないらしいよ」と話しているのを聞きました。あなたは、その銀行にたくさんの預金をしています。あなたならどうしますか。

  • うわさの真偽を確かめる
  • 預金を別の銀行に移す
  • 何もしない

解説

1973年、女子高生の他愛もないおしゃべりから始まったうわさが、豊川信用金庫での大規模な取り付け騒ぎに発展するという出来事がありました。発端は、ある女子高生がこの銀行に就職する友人を、「信用金庫は危ないよ」と茶化したことでした。この会話をそばで聞いていた別の友人が、それを本当のことだと信じて叔母に話したところ、そこからうわさが拡がり、うわさを聞いた人が、次々と自分の財産を守るために、預金を下ろそうとしたのです。その結果、豊川信用金庫は倒産の危機に陥り、はじめは何の根拠もなかった話が現実化することになりました。このように、未来の出来事に対して、「こうなるだろう」とか「こうになるに違いない」といったある種の予言をしていると、当初はそれが真実でなかったとしても、予言どおりになることがあります。これを予言の自己成就といいます。

予言の自己成就は対人場面でも見られます。たとえば、電話の向こうの女性が魅力的な女性だと信じて会話をした男性は、知らず知らずのうち、相手の女性が心地よく感じるような会話をし、その結果、相手の女性も魅力的に振る舞うようになったことを示す研究があります。また日常生活のなかでは、相手を意地悪な人だと思って接することにより、あなたの振舞いが相手の意地悪な行動を引き出し、やはりあの人は意地悪な人だったと自己成就してしまうこともあるでしょう。教師が児童の能力が伸びることを期待することによって、実際にその児童の能力が伸びたという、ピグマリオン効果も、この予言の自己成就現象の一つと考えられます。

関連記事:ピグマリオン効果

【参考文献】
木下冨雄 (1977). 流言 池内-(編) 講座社会心理学3 集合現象 東京大学出版会 Pp. 11-86.
Snyder, M., Tanke, E. D., & Berscheid, E. (1977). Social perception and Interpersonal Behavior: On the self-fulfilling nature of social stereotypes, Journal of Personality and Social Psychology, 35, 656-666.

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