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モラル・ライセンシングmoral licencing

免罪符

たとえば…
さっき募金をしたのだから、ここで赤信号を無視するくらい、なんてことない。

考えてみよう

あなたは海岸清掃のボランティアに終日、参加し、とても疲れた状態で帰りの電車に乗りました。すると、優先席だけが1席、空いていました。あなたの後ろには、旅行帰りと思われる乗客が何人か続いています。あなたは優先席に座りますか。

  • 座る
  • 座らない

解説

普段から道徳(モラル)に適った行いをしている人は、常にそうした行いをしていると思われるかもしれません。ところが、善い行いをしたあとは悪いことをしてもよいというお墨付きや許可証(ライセンス)をもらったような気になって、むしろ善い行いが抑制されたり、悪い行いをしやすくなってしまうことがあります。これをモラル・ライセンシングといいます。

モラル・ライセンシングは、よく似た行動の間でも起きますが(たとえば、ある場面で偏見のない態度を見せた人が、その後、差別的な振る舞いをするようになる)、例題のように、まったく無関係な文脈のなかで起きることもあります。ボランティア活動をして「自分は道徳的に善い行いをした」と思った人は、普段だったら抑制しているような行為(この場合、優先席に座る)をしやすくなるかもしれません。

かつてカトリック教会は、信者の罪を赦す証しとして免罪符と呼ばれる証書を発売していました。免罪符は、寄進への見返りとして教会が発行していたものですが、モラル・ライセンシングは、自分で自分(セルフ)に免罪符を発行しているようなものです。そのため、モラル・セルフライセンシングと呼ばれることもあります。

【参考文献】
Merritt, A. C., Effron, D. A., & Monin, B. (2010). Moral selflicensing: When being good frees us to be bad. Social and Personality Psychology Compass, 4, 344-357.
Blanken, I., van de Ven, N., & Zeelenberg, M. (2015). A meta-analytic review of moral licensing. Personality and Social Psychology Bulletin, 41(4), 540-558.

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