グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


教育・学生生活

2021年7月


子育て講演会 「はらっぱ」におじゃましました2021! part1!

 2021年7月9日(金)に令和3年度 第1回 子育て講座「はらっぱ」が十文字女子大附属幼稚園で開催されました。
今年で14年目になる子育て講座「はらっぱ」は、十文字学園女子大学と十文字女子大附属幼稚園の共同開催となっており、附属幼稚園に大学から先生をお迎えして、附属幼稚園の保護者の方や地域の皆さんを対象に専門家のお話を聞ける講座となっております。現地参加とオンラインの同時開催です!
テーマ:「感染症に打ち勝つ体つくりに必要な食育」
徳野 裕子先生

十文字学園女子大学 健康栄養学科 准教授

【講義概要】私たちは、幸いにして長い間感染症という恐怖を忘れ生活ができていました。しかし、残念ながら昨年から感染症を生活習慣病以上に予防しなければならなくなりました。お子さんが安全にワクチン接種をできるまではまだ時間がかかります。でも、私たちには、自ら感染症と戦う力も持っています。これまでの新型コロナウィルスに感染した患者調査の経験を踏まえ、感染予防方法と自ら感染症に打ち勝つ力をつけるための食育についてお話します。

【略歴】日本女子大学院修了 博士(学術)、本学食物栄養学科講師を経て現職。国立公衆衛生院、国立保健医療科学院研究員。2012年~14年フロリダ州立大学客員教授。昨年8月から厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務局参与、現在埼玉県保健所への専門職の支援を行う。管理栄養士、公認スポーツ栄養士。

徳野先生

 厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務局の参与をされ、埼玉県保健所への専門職の支援を行っていらっしゃる徳野先生から、コロナウィルス調査の現在の状況や経験などをお聞きし、小さなお子さんを育てる保護者の方へ、感染症に打ち勝つため、何に気をつけたら良いのか?など、食育を中心にお話をお聞きしました!

「感染症に打ち勝つ体つくりに必要な食育」をテーマにお話しをお聞きしました!

【講義内容】
1. 過去から未来への動的な健康政策
  ・健康とは?
  ・憲法から始まる今の公衆衛生活動
  ・健康増進法と食育基本法
2. 公衆衛生と疫学の定義
3. 食育基本法の役割
4. 体の中のシステムと栄養との関係
5. 腸内細菌の役割
6. 新型コロナウイルス感染症対策と食
7. どのくらい食べたらよいのだろうか
8. 最後に
今回の徳野先生のお話は、憲法のお話から細菌や栄養の話など、多伎にわたるお話をお聞きしましたので、その中から少しだけご紹介したいと思います。

最初に日本国憲法に記載されている、「健康とはどのようなことか?」や「公衆衛生の定義」、「疫学の定義」について解説してくださいました。ところどころに徳野先生が支援をしている保健所の状況などを交え、なかなか聞くことのできない、現場のお話をしてくださいました。


紹介してくださった食育基本法の中から

「食育」とは『様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること』などがあるそうです。
子育ての中で、すぐに実践できる事を紹介してくださいました。

・朝しっかりと食べる食習慣を作る。
・食べさせるだけでなく、みんなと一緒にご飯を食べることが大切。朝一緒に席について話す話題は、夜の話題とも違う。
・便は腸内細菌の様子がとても現れる。臭いおならに注意。
・おしっこの色をみると熱中症予防を含めた体調が良くわかる。通常は白(透明)に近い色が望ましいが、昼間のおしっこが黄色くなってくると水分不足に要注意。ペットボトルなどの既製品のお茶などはビタミンCが入っているため大量に摂取すると、おしっこの色が黄色になる原因になる。
・私たちの体は、常にホメオスタシス(恒常性)の機能から適切な体温を保とうとする。正常体温は36.5℃~37.2℃が最も適切な体温である。低体温にならないよう注意をする。

布で作った人間の腸の模型

細菌についてのお話もお聞きしました

・体の9割は細菌でできている。
・良い細菌をみつけて、育てる。例えば、ヒトの腸内細菌は、約1000種類、約100兆個。ヒトの細胞はの37.2兆個よりも多い。
・細菌が栄養供給や、免疫系や代謝系の調整など、体内で様々な役割を担い、共生関係にあることが次々と示唆されている。
・腸内細菌を含めて、私たちの体の細菌は常に入れ替わっている。
・私たちの体の細胞も常に変わっている。筋肉は2カ月、胃の細胞は約5日、小腸の細胞は約2日、血は約4カ月で新しい細胞に生まれ替わる。
・今日のお昼に食べるものから変えていけば、私たちの体の細胞も少しずつ変わっていく。
新型コロナウィルスの感染予防対策については

① 感染源に近づかない(持ち込まない・つけない・殺す)*食中毒の3原則にも似ている。
② 生体の抵抗力をつける(自然免疫力で対応できるようにする)
③ 栄養と食事(ほぼすべての栄養素が関係している)5大栄養素+腸内細菌(最近では腸内細菌は必須の項目になりつつある)

福食のホームページより、米が含まれる

未就園児のお子さんも、隣の部屋と行ったり来たりしながら、一緒に参加していました

自分に適した食を選択するには

良い舌バロメーターは2歳半~3歳の子どもが持っている(それ以降は環境で味覚が変化してしまう)。いかにして、その味覚を傷つけないように育てていくかが重要ではないか。子どもは本能で、何が美味しいか一番分かっている。子どもが食べないのであれば、なぜ食べないのか?作り方もあるし、心理的なものあるが、食品がどのようなものであるかを考えてみる。無農薬や、鮮度の良いもの。また遺伝子組み換え食品などバイオテクノロジー応用食品であるかどうかの確認(遺伝子組み換え食品は、食品から抽出した結晶がぐちゃぐちゃになりやすい)。

子どもが適切に食べることができているか?が不安になる場合は、成長曲線をみると分かる。すごく分かりやすく正確。そこに問題がなければ大丈夫。
*下記のHPから当日配布した資料にある成長曲線がダウンロードできます。
https://ghw.pfizer.co.jp/smartp/c_down/
私たちに必要な食とは?

・体を本当の意味で元気にしてくれるものを食べましょう
・エネルギー(物理的)が高いものを選びましょう
・リスクを減らす食事をしましょう
・固定概念を持たない、進歩する技術に対して経緯を示す考え方を心がけましょう
・私たちに与えられる食を取り巻く環境に対して、隅々まで感謝できる気持ちを持ちましょう
・健全な精神は、健全な身体に宿る
・健全な身体は、健全な精神に宿る
・いただきます。ごちそうさま。食時の時もあいさつを忘れずに。

左から:附属幼稚園の園長、伊集院先生と徳野先生

最後に先生からのメッセージです!

You are what you eat!
あなたは、あなたが食べたものから出来上がります。
<取材を終えて>

徳野先生のお話を伺い、食ということを、改めて考える良い機会となりました。「お腹がすくから、適当に食べる、食べさせる」のではなく、食べることの大切さを教えていただきました。
新型コロナウィルス対策も、3食きちんと食べ、適度に運動をし、良い睡眠をとることが、自己免疫を高めることにつながる。きちんとした日常生活をおくる事が大切とのこと。
我が家には高校生と小学生の子どもがいて、家族一緒に朝食は難しいのですが、作り置きのできる「具たくさんスープ」を朝に用意しようと実践中です。私が出勤するよりも遅く起きるお兄ちゃん(試験休み中)に、食卓にスープを置いてきましたが、ちゃんと食べてくれるのか?いつまで寝ているのやら?と思いながら仕事をしております。

附属幼稚園の園庭には、いろいろな種類の野菜が植えてありました。みんなで収穫して、七輪などで焼いて食べるそうです。これも食育ですね!