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大学院修了生紹介|ベトナム留学生が本学大学院博士課程の学位、日本の調理士免許とふぐ調理師免許取得の快挙


 ヴゥ・テゥイ・リンさんは、ベトナムの大学を卒業後、フグを主力商品として扱うミツイ水産株式会社に就職し、日本ではフグが高級な食材として扱われていることを知りました。一方、母国ベトナムには多くのフグが生息しているものの、捕獲も食することも法的に禁止されています。このような状況から、「ベトナムにおいてフグを食文化にできないか」と考え、その目的達成のために、2016年4月に本学大学院に入学しました。その後フグの研究に取り組み、2018年に修士課程、2021年に博士課程を修了しました。リンさんは母国のフグ食文化確立のために努力を重ね、大学院の学位の上に、日本の「調理師免許」、続いて「ふぐ調理師免許」の取得という快挙を達成しました。

 修士課程では、フグ料理の味がベトナム人に受け入れられるかどうかを調べるために、日本のふぐ調理師免許保持者が、ベトナムにおいて日本の養殖トラフグとベトナムの高級魚(ハタ、サワラ)で、唐揚げ、鍋料理、刺身、ヒレ酒、煮こごり、皮の和え物、たたき、雑炊、白子豆腐を作り、栄養学及び海洋生命学分野の研究者、海産物会社員やフグに関する法律作成に関与する政府職員など100余名を対象とした嗜好テストを行いました。その結果、「フグは美味しくて新しい食材になる」という評価が得られました。

 博士課程では、ベトナムの長い沿岸の北から南までの6漁港に水揚げされた合計約100匹のシロサバフグ、クロサバフグの毒性試験を行い、日本と同じく筋肉は食料として安全であることを示唆しました。ちょうど同じ時期にベトナムの政府は水産業を国の主力産業に発展させ、国際競争力を高める方針を掲げました。「フグはその有力な候補になる」と確信するリンさんは、大学院を修了した今も一層の努力を続けています。

“フグちゃん”の愛称で親しまれるリンさん

ヴゥ・テゥイ・リンさん(中央) 志村 二三夫 学長(右)
アジアの栄養食文化健康研究部部門長 山本 茂 教授(左)

※十文字学園女子大学は、ミツイ水産株式会社、ベトナム国立栄養研究所およびベトナム海洋漁業研究所の間で「ベトナムのフグ食文化発展のための日越交流協定」を締結し、リンさんの研究活動を支援しています。

志村 二三夫 学長(大学院人間生活学研究科長・教授)からのメッセージ

 本学大学院は学部からのストレート進学者はもとより、力ある志の高い社会人や留学生を積極的に受け入れ、課題探求・発見・解決力の涵養(かんよう)につとめています。
 リンさんはハノイ国家大学外国語大学で日本語を学び、日本の食文化とくに魚食文化の豊かさに関心を高めました。卒業後は日本の水産会社に就職し、ふぐ調理師等の目利きの技や無毒化養殖技術で、毒魚フグを美味な高級食材に変身させる知恵や工夫を学び、「ベトナムにフグ食文化を!」の思いを強くしました。その実現には課題探求・発見・解決力を高める必要があると考え、ベトナムの教育・研究機関と学術交流が盛んな本学大学院に入学しました。大学院では、行政的規制への十分な配慮の下に、「フグの嗜好調査」「ベトナム産フグの毒性試験」等に取り組み、新規性高い知見を得て博士号取得に至りました。
 その一方、「ベトナムにフグ食文化を!」には、実践者・実務者としての力も必要と考え、博士論文の研究と並行し、ふぐ調理師免許とその前提となる調理師免許(外国人には敷居が高い)の取得に挑みました。ふぐ調理師にはサバフグと毒サバフグの選別、有毒フグから食用となる無毒部位を切り分ける技術等の高度な能力が求められます。
 この度リンさんが博士号とこれら2資格を取得し、学術と実務・実践両面の力を得たことはまさに快挙です。「ベトナムにフグ食文化を!」に向けて走り出したリンさんに心からのエールをお贈りします。