03年度：後期　認知心理学（綿井）の模擬テスト

Ⅰ　次の文が説明している語句として最も相応しいものを１つ選び、語句の記号を答えなさい。

１．ここに転送・貯蔵された情報や知識は、生涯にわたって保持される。・・・・・・・　長期記憶
２．短期記憶で一度に保持できる容量を表す単位で、意味のまとまりをさす。　・・・・　チャンク
３．短期記憶に情報を保持し続けるために行う活動のこと。　・・・・・・・・・・・・　リハーサル
４．記銘したときと同じ状況で再生すると、違う場合に比べて、成績がよくなること。　　文脈効果
５．体験した事例を分類して、それぞれおグループにまとめる活動。　・・・・・・・・　カテゴリー化
６．概念に属する事例の「らしさ」の程度　・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・　典型性
７．個人的な経験や体験に関する知識　・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・　エピソード記憶
８．箸の使い方、ブラインドタッチの仕方など、動作に関する知識　・・・・・・・・・　手続き的知識
９．意味記憶の表象モデルの一つで、認知的な経済性を考慮したモデル。　・・・・・・　階層的ネットワークモデル
10．あることを思い出すとそれと関連の深いことを次々に思い出すこと。　・・・・・・　活性化拡散
11．その時々の期待や推測を重要な手がかりに認知を成立させる仕方。　・・・・・・・　トップダウン処理
12．対象の特徴を十分に分析した上で認知を成立させる仕方。　・・・・・・・・・・・　ボトムアップ処理
13．物事を理解するために用いられる枠組みとしての知識。　・・・・・・・・・・・・　スキーマ
14．多くの物語や昔話に共通している、ストーリーの展開に関する知識。　・・・・・・　物語文法
15．概念を構成する事例の間で、特性が共通している様子を示す言葉。　・・・・・・・　家族的類似性
16．概念に関する知識に強い影響を与える典型性の高い事例のこと。　・・・・・・・・　プロトタイプ
17．私たちの頭（記憶）にたくわえられていることの総称。　・・・・・・・・・・・・　知識
18．外界の事象や事物を認知した内容を頭の中で表現し保持すること。　・・・・・・・　表象
19．言語の表現形式にとらわれることなく、「文の意味」を表象する形式。　・・・・・　命題
20．記憶システムを、短期記憶と長期記憶に分けて考えるモデル。　・・・・・・・・・　２貯蔵庫モデル

Ⅱ　系列的に記憶材料を提示した後に、自由再生を行わせると、最初の方に提示された材料をよく思い出す「初頭効果」と、最後の方に提示された項目をよく思い出す「新近効果」がみられる。２貯蔵庫モデルに基づいて、各々の効果が生じる理由をのべよ。また、新近効果が消滅する実験手続きについて述べよ。

【初頭効果】
　最初の方に提示された材料は、短期記憶で「リハーサル」されることが多く、
リハーサルを繰り返すことで、長期記憶に転送されうる。そのために、
そのために、再生されやすくなっている。

【新近効果】
　最後の方に提示された材料は、短期記憶にそのまま残っており、
再生を始めるとともに、言う・書くことで、再生することができる。

【消滅手続き】
　材料を提示した後に、短期記憶での情報処理を必要とする課題　
－例えば、暗算による引き算－を行わせること。

Ⅲ　概念に関する次の文の正誤を判断せよ。

１．○　野菜、家具、演歌という概念そのものは実在しておらず、私たちの頭の中にある。
２．○　概念を形成し獲得することで、私たちは見聞きする事物を見分けることができる。
３．×　事物を同じグループにまとめたり、区別することを概念化という。　
　　　　　　　　概念化　→　カテゴリー化
４．×　感情や情緒に関する概念が豊富でなければ、私たちの感受性は豊かだとは言えない。
　　　　　　　　概念の豊富さと、感受性は豊かさとは、独立している
５．×　私たちの保持している概念の全ては、学校での教育を通じて獲得したものである。
　　　　　　　　概念の獲得は、日常生活での様々な活動を通して。
６．○　国や民族によって、概念のプロトタイプが異なるのは当然である。
７．×　強烈な個性や印象を持つ事例ほど、その概念での典型性が高いと言える。
　　　　　　　　他の事例と共通した特性の多いものほど、典型性が高い

Ⅳ　「ファーストフードのお店で食事をする」というスキーマを構成するであろう、具体的な行為・出来事を生起する順に６つ述べよ。

【典型性・共通性の高い出来事を、生起する順に６つ挙げること】
　　１．カウンターに並ぶ
　　２．店内で食べることを告げて、注文をする
　　３．商品を受け取り、代金を払う
　　４．トレーを持って、座席を探す
　　５．座って食事する
　　６．紙コップや包装紙を捨てて、店を出る

Ⅴ　次の文の意味を命題形式で表象せよ。

１．太郎と花子は４月２日に結婚する。　　３．４月２日は火曜日である。
２．太郎はコンビニの店長である。　　　　４．花子は結婚を喜んでいる。

Ⅵ　次の知識は、意味記憶、エピソード記憶、手続き的知識のいずれに該当するか。

１．＜手続き的知識＞　甘くておいしそうなリンゴの見分け方。
２．＜　意味記憶　＞　リンゴの代表的な産地は青森と長野である。
３．＜ｴﾋﾟｿｰﾄﾞ記憶＞　中学生の頃、リンゴの皮むきをしたが、上手にできなかった。

Ⅶ　「プレゼントする」という動詞の言語スキーマには、３つの要素が必要である。それぞれの要素とは何かを述べよ。

　　　【要素】　　　　　【要素の性質】
１．送り手・送り主　・・　人間（年長者・男性）
２．受け手・もらう人　・　人間（年少者・女性）
３．品物　・・・・・・・　価値ある物

Ⅷ　「桃太郎」などの昔話を思い出し、物語文法の規則として、必要不可欠なものを６つ挙げよ。

物語文法（ソーンダイク、1977）の概要
　　１．物語　→　設定＋テーマ＋プロット＋解決
　　２．設定　→　場所＋時間＋登場人物
　　３．テーマ　→　（出来事）＋目標
　　４．プロット　→　エピソード
　　５．エピソード　→　下位目標＋試み＋結果
　　６．試み　　　　→　出来事、エピソード
　　７．結果　　　　→　出来事、状態
　　８．解決　　　　→　出来事、状態
　　９．下位目標
　　　　目標　　　　→　理想状態

Ⅸ　ボトムアップ処理またはトップダウン処理により認知・認識した、個人的体験をわかりやすく述べよ。

トップダウン処理：期待や思いこみから「認知」してしまった体験
ボトムアップ処理：対象を十分に吟味してから、ようやく「認知」できた体験

03年度：後期 認知心理学（綿井）の模擬テスト

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