(取材班:オウシンオク、鈴木稚菜)
ジェーンさんは、アメリカのアイオワ州出身。国際交流員として埼玉県国際課に勤務し、主に英訳・和訳の翻訳、通訳、イベントスタッフなどで忙しい日々を送る。埼玉県内の歴史と由緒ある建築物を紹介した「埼玉建物トラベル」という本の執筆を担当するなど仕事は多岐にわたる。
日本語に悪戦苦闘した経験を話すジェーンさん
そんなジェーンさんが日本を意識したのは、10歳のときに見た宮崎駿監督作品のアニメ『千と千尋の神隠し』。そして12歳のころに友達に誘われた外国語を学ぶキャンプが日本語を学ぶきっかけとなった。相手が日本語を学ぶグループに入ったのが、まさに運命の出会いというべきか。会話はすべて日本語という環境の中で苦労したが、「たくさんの友達ができ、日本語を本格的に勉強しようと思った」という。
今では自由に使いこなす日本語だが、「母国語にはない漢字は今でも苦労しています」という。だが、辞書を引きながら覚えた歌詞が数年後に意味が突然分かるときがあり、「その瞬間に日本語が上達したんだなあと実感できるのがうれしい」と笑顔を見せる。
アメリカで日本語を学び、高校時代には山梨県でホームステイを経験、大学時代の1年間は都内にある大学に留学した。日本の素晴らしさを知り、日本で多くの友人ができたが、進路については「日本に残るかアメリカで大学院に進学するかギリギリまで迷った」という。「若い時にしかできない経験を」と日本で仕事に就くことを決意し、国際交流員に応募した。
ジェーンさんの話に聞き入った
国際交流員は勤務地を自分では決められないが、学生時代の友人が多く住む埼玉を第一希望とした。これまた偶然にも埼玉が最初の赴任地となり、県内を駆け巡る中で「都心と田舎がバランスよく調和する埼玉は、自分が育ったアイオワ州に似ている」と埼玉への親近感が日増しに深まっているようだ。
留学生時代と比べ職業を持った現在、日米の文化の違いに気づくことが多くなった。一番戸惑ったのが医療保険制度。「アメリカでは専門的な治療が必要となった時点で専門医に診てもらうが、日本は初めから専門的なクリニックに行かねばならず、どこに行けばいいのか分からない時期がありました」と振り返った。また食べ物にも違いを感じることが多い。アイオワ州は海から離れているので魚がアイオワ州に届くには2、3日かかる。「生の魚は食べたら病気になるよ、と子供の時から言われてきました。今でも自分から絶対に注文しないのが生の魚です」と明かした。
最後に私たち学生にこんなアドバイスを送ってくれた。「私の人生はこうなるんだと思っていても、そうならないことは多い。自分が思った通りに行かないときに絶望せず新しい機会を求め続けることが大事です」と。
日本の友人のことを笑顔で話す
インタビューを終えて
取材を終えて
◇ジェーンさんは母国の誇りを忘れず、日本で真面目に働く素晴らしい女性です。今回の取材はとても勉強になりました。留学経験のあるジェーンさんから大事なメッセージをもらいました。ありがとうございました。(オウ シン オク)
◇文化の違いがあっても、異国の地で働くジェーンさんは素敵だなと思いました。また、友の影響力は世界共通であることの素晴らしさを知りました。世界に目を向け、外国の方との交流が出来る機会を増やしていきたい。(鈴木 稚菜)