■ 課題研究

1.デジタル・アーカイブの新しい展開と今後の課題

コーディネータ:井上透(国立諫早青少年自然の家),久世均(岐阜女子大学)

 情報社会の進展に伴い,デジタル・アーカイブの対象は,文化財を中心とした時代から,個人や地域に関わる資料,行政や企業等の資料へと多様化の道を歩んできている.また,デジタル・アーカイブ化の手法も,テキスト・静止画・動画による資料の記録を中心とした時代から,CG・GPS・立体スキャナ・多方向同時撮影といった多様な手法が用いられるようになってきた.そんな中,著作権やプライバシーに関する課題も顕在化しかつ多様化してきた.ここでは,デジタル・アーカイブの開発・活用に関わる問題点や人材育成に関する課題を議論し,今後のデジタル・アーカイブの展開についての方向性を考える.

2.初中等教育での学習教育支援・実践と情報教育

コーディネータ:小田和美(東京女子体育大学),金澤勇一(和光市教育委員会),坂井岳志(世田谷区立八幡小学校),飯塚隆(新座市教育委員会)

 学校現場に情報機器や高速ネットワークが整備され,教員が道具としてそれを活用しながら授業をするのは遅かれ早かれ,当然のことになる.ただ「使う」のではなく「いかに使うか」の知恵が教員のスキルとして問われる.また新しい学習指導要領では,各教科の活動の中に情報教育を埋め込み展開することになった.「教科の活動」のなかで「情報活用能力の育成」を図るには,新しいカリキュラムの構成が必要となる.これからの社会を構成していく人間の育成には,新しい評価の基準も必要である.この大きな変革を間違いなく進めて行くためには,全国の教員・研究者の叡智を共有することが重要な鍵となる.実践,教育支援,カリキュラム構成,評価等,互いの知恵と工夫を共有し,ともに研鑽するための活発な議論の場としたい.

3.高等教育の改革と実践及び評価

コーディネータ:本郷健(大妻女子大学),本村猛能(群馬大学)

 中長期的な大学教育の在り方が諮問され,高等教育をめぐる様々な改革が提示されている.教育は実践であり,日々の教育活動がそのことによって,どのように具体的に変化し,趣旨を反映しているかを検証することが重要である.本課題研究では,大学における教育内容・方法の改善と評価,FD の組織化とFD の効果検証,FD プログラムの開発と効果検証,カリキュラム・デザインとカリキュラム評価,大学教員の職能開発と評価,教員評価などに関して研究,大学におけるキャリヤ教育の実践と評価などの実践報告を集約するとともに,今日の大学に求められる改革・改善の方向性とその状況について情報交換したい.

4.特別支援教育の実践と評価

コーディネータ:岩井雄一(十文字学園女子大学),太田容次(滋賀大学教育学部附属特別支援学校)

 平成19年度から始まった特別支援教育は,特別支援学校や特別支援学級,通級による指導だけでなく通常の学級も含めて,障害のある幼児児童生徒の一人一人のニーズを踏まえた適切な指導と必要な支援を行う.通常の学校における特別支援教育体制は整備が進んでいる.一方,知的障害教育を対象とする特別支援学校,特別支援学級,通級による指導の在籍者数は大幅に増え,今後も増え続けていくことが予想されている.また,障害者の権利条約を踏まえた国内法等の整備においては,インクルーシブな教育の制度に関する議論も進んでいる.こうした動向をふまえ,特別な教育的ニーズのある子どもへの情報教育の充実,コンピュータ等の教材・教具の活用等、特別支援教育におけるICT化について情報交換したい.

5.教育資料・教材と図書館の役割

コーディネータ:松本直樹(大妻女子大学),野末俊比古(青山学院大学)

 近年,メディアのデジタル化とネットワーク化の進展が著しい.Googleによる図書のデジタル化と提供,AmazonやAppleのKindle,iPadなどのデバイス開発と電子書籍事業は情報メディアに関する制度や人々の習慣を大きく変化させている.こうした動向は,教育資料やそれをもちいた実践にさまざまな影響を与えうる.そこで,本セッションでは,近年のこのような動向をふまえ学校における教育資料や教材開発の課題について広く検討する.併せて,メディアセンターから教育・学習センターとして新しい役割を期待されている図書館にも焦点をあてる.学校図書館に限らず,大学図書館や公共図書館も視野にいれ,学校(初等中等)教育,高等教育から生涯学習・社会教育において,教育資料のデジタル化が「場」としての図書館にどのような変革をもたらすのか情報交換をしたい.

6.教育と著作権

コーディネータ:坂井知志(常磐大学),鈴木修二(文化庁著作権課課長補佐)

 学会の著作権等研究会の活動状況を踏まえつつ,近々公表する著作権・肖像権・個人情報の「ガイドライン」について議論を進める.また,学校教育の校務や,社会教育や青少年教育についても触れ,幅広く議論することにより「ガイドライン」が教育界に有効なものとなるための議論を深める.

7.教師教育・教員研修

コーディネータ:山本利一(埼玉大学),山下成明(さいたま市教育委員会),須藤崇夫(浦和第一女子高等学校),堀口真史(埼玉県立総合教育センター)

 学校教育の成果は,児童・生徒・学生の教育に直接携わる教員の資質能力に負うところが大きい.教師教育及び教員研修に一貫する教員の資質能力の形成過程には,@教員養成段階,A教員採用段階,B教員研修段階がある.近年の我が国の教師教育・教員研修に関する施策や課題等について,教員養成・教員採用・教員研修の各段階に関わる様々な立場からの教育実践・調査研究により,情報交流及び研究協議を行う.また,教員免許更新講習の研修内容や,各教育センターでの研修内容の情報交換の場としたい.

■ 一般研究

  • 発表内容は,「教育情報に関する研究」であれば,特に内容は問いません.「教育情報」とは,「教育に関する情報」と「情報に関する教育」の内容となります.
  • 想定される発表セッションのキーワードは次の通りです.応募状況に応じてセッションを設定する予定です.

キーワード:教育情報管理,文献資料,教材,電子教科書,デジタル・コンテンツ,教材開発,メタデータ,情報カテゴリー,シソーラス,デジタル・アーカイブ,知的財産権,プライバシー,カリキュラム,教材研究,学習評価,授業分析,教育システム,共同学習(遠隔協働学習),交流学習,高大連携,生涯学習,教師教育,情報教育,教科教育,情報処理教育,eラーニング,教育情報システム,学習ソフトウェア開発,学習情報管理システム,データベース,情報検索,インターネット,遠隔教育,遠隔教育システム,ネットワーク,プレゼンテーション,電子黒板,マルチメディア,国際貢献・協力,国際理解,特別支援教育,高等教育,専門教育,技術教育,初等中等教育,情報モラル,メディアリテラシー,アクティブ・ラーニング

■ 課題研究に関する注意事項

  • 課題研究は前記「課題研究テーマ」から選び,そのテーマに沿って研究発表題目をつけてください.
  • 課題研究発表は年会実行委員会で調整し,テーマごとに担当コーディネータが検討し,審査します.その結果,発表「否」となる場合もあることをあらかじめご了承ください.なお,課題研究として発表できない場合には,一般研究を別に申し込んでいても課題研究分を一般研究発表として発表していただくこともあります.
  • 第1 発表者(講演者)として課題研究発表は,1 人につき1 件のみとします.ただし,年会実行委員会から特に依頼された課題研究発表についてはこの限りではありません.

■ 一般研究に関する注意事項

  • 第1 発表者(講演者)としての一般研究発表は,1 人につき1 件のみとします.
  • 一般研究発表の発表者は,発表の時点で会員である必要があります.非会員の方は,事前に学会入会の手続きをしてください.学会入会申込書は学会運営本部事務局(nkjg@gijodai.ac.jp)にご請求ください.

■ 発表者への連絡

  • 発表者には,6月上旬までに発表の可否をメールで連絡します.
  • 発表を可とされた申込者に対しては,論文の執筆要項をお送りします.
  • 論文の原稿枚数は,一般研究は2枚, 課題研究は4枚とします.原稿は「年会論文集」の版下の形で,電子メール(デジタル原稿(pdf))で年会事務局に提出していただきます.