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研究・社会貢献・公開講座

【授業レポート】総合科目「ちふれと考える私らしさ」


十文字学園女子大学では総合科目「ちふれと考える私らしさ」を開講しました。この科目は、ちふれホールディングス株式会社様との連携のもと、デザイン思考のフレームワークを用いて、化粧や化粧品の視点から「自分らしさ」とは何かに迫り、化粧の価値を問い直す科目です。

担当教員:社会連携推進センター 特別招聘教授 瀬谷崎裕之
     社会情報デザイン学科 准教授 中村健太郎

第4回 ちふれと探る「My Pace Beauty」-SNS時代に自分だけの“軸”を見つける特別授業

4月30日の第4回授業では、ちふれブランドが提案する「My Pace Beauty」を「私らしさ」「ありたい自分」と重ねながら、「私らしさ」「ありたい自分」を追求していく“きっかけ”や“ヒント”をつかむことを目的に実施しました。
グループディスカッションでは「私が考えるMy Pace Beauty」をテーマに議論し、SNS時代における「自分軸」の確立や完璧主義からの解放など、学生の多様な価値観が可視化されました。
スキンケアやメイクに関する議論は言うに及ばず、受講生の対話があっという間に、人の内面の魅力に関するテーマに移行したところが印象的でした。あるがままの自分を肯定し、その人らしい個性を表現することが「My Pace Beauty」であり、その魅力を感じ取る力もまた、人の内面の美しさなのだと実感する時間となりました。

1.前回授業の振り返り ―リアクションペーパーに寄せられた疑問にも丁寧に回答

受講生が提出した第3回授業のリアクションペーパーの中から、特に多かった学生の感想を6点挙げていただきました。
①骨格やパーツの個性を活かす技術
②眉メイクが与える印象変化への驚き
③「似合わない」という先入観からの解放
④理想の自分へ近づく「自己表現」としてのメイク
⑤義務感や作業から、「ワクワク」へ
⑥メイクを通じた他者とのつながり

さらに、受講生からだされた以下の質問にもご回答いただきました。
①眉尻がないのだが、おすすめのペンシルは
②長時間経っても、色を保つ方法
③メイクの際、蛍光灯、オレンジ系照明、自然光の下、どこでメイクするのがよいか
③のおすすめのメイク場所については、「メイクは、人から見た際の印象との差を少なくするため、自然光に近い環境で行うのがよいとされており、窓の近くや顔に光が当たる位置がおすすめですが、直射日光だと影が強すぎるため、レースのカーテン越しなど、やわらかい光のもとがよい」とのことでした。
その他の質問は、次回第5回授業「スキンケア・ベースメイク講座・実践ワーク」で実演を含めてご指導いただきます。

2.ちふれの企業ブランドを支える3つの「C」―「ちふれ」をより身近に感じた時間

今回の授業では、学生の関心が高いと想像する3つの分野に絞り、3つの「C」として以下の紹介がありました。

Cosmetics(化粧品):SNS等の周囲に流されず「自分らしく、背伸びをしない」My Pace Beautyを提唱し、肌に本当に必要な成分を届けることを重視している姿勢。
Career(キャリア):6つのブランド展開や、商品企画から販売までバトンをつなぐ多様な職種、時差出勤制度を活用する社員の具体的な1日。
Challenge(挑戦):「うそのない事業活動」を掲げ、保育園運営やZ世代との共創活動など、社会課題の解決に取り組む姿勢。

受講生は、ちふれが多様なブランドを展開していることを知り、企業が単に商品を販売するだけでなく、社会との関わりを大切にしていることを学び、企業への見方を広げる機会となりました。また、メイクを「コンプレックスを隠す義務」ではなく「自分を彩るワクワクするもの」へと捉え直し、SNS時代の「自分軸」の大切さに強い共感を抱きました。その気づきが次のグループディスカッションにつながりました。

3.グループディスカッション ーSNSに流されない「自分軸」の重要性

5つのグループA~Eに分かれ、私が考える「My Pace Beauty」をテーマにグループディスカッションを行いました。

Aグループは、自分の世界観やこだわりを持ち、好きなものを堂々と表現できる人を「My Pace Beauty」とし、「完璧主義になりすぎない」という視点も重視、メイクですべてを隠し切るのではなく、自分の良さを引き出し、無理のない範囲で自分を伸ばしていくことが、美しさの幅を広げることにつながると結論づけました。

Bグループでは、特に「自分軸」に焦点を当てました。自分の中にしっかりとした「芯」を持ち、目標に向かって毎日努力を重ねる姿勢を美しさとして捉え、外見的な美しさ以上に、内面の美しさや自己のあり方について深く議論されました。

Cグループの議論では、「周囲やSNSに流されない強さ」が大きなテーマとなりました。SNSの同調圧力や他人の目を気にしすぎることなく、自分を大切にし、自分の軸を維持することが「My Pace Beauty」の本質、多様な情報が溢れる現代において、自分らしさを守り抜くことが美しさであるという結論に至りました。

Dグループでは、自分ルール、テクニック、スキンケアなど5つのカテゴリーに分類し、特に「心情的」な側面が強調され、メイクをその日の天候や予定に合わせた「一期一会の創作物」として捉え、自分の気持ちを高めるツールとして定義しました。また、相手に「強く見られたい」といった、自分のポリシーに従った自己表現としてのメイクの重要性も語られました。

Eグループは、肌、自然体、憧れ、マインドなど6つのカテゴリーに整理し、その中でも「マインド」に最も高い関心を示しました。人に流されずキラキラと輝いている姿や、他者の意見を受け入れつつも自分自身を大切にする姿勢こそが、多くの学生が憧れる「My Pace Beauty」の姿であると結論づけ、自信を持って前を向く姿勢が周囲にもポジティブな影響を与えるという点に共感が集まりました。

4.リアクションペーパーから見える受講生の学び

「美しさ」と「自分らしさ」の再定義
多くの学生が、これまでのメイクを「コンプレックスを隠すための義務や盾」と捉えていましたが、講義を通じて「自分の骨格や個性を活かし、なりたい自分をデザインする楽しいツール」へと意識が変化したようです。完璧主義を捨て、「ありのままの自分を愛すること」こそが真の「My Pace Beauty」であるという気づきを得ていました。

「自分軸」の確立とSNSとの向き合い方
SNSの流行や同調圧力に流されず、自分の価値観(芯)を持つことの重要性を学びました。また、グループワークで多様な意見を可視化したことで、他者も自分と同じような不安や憧れを抱いていることを知り、自己理解と他者理解の両面で思考が深まりました。

企業の社会的な姿勢への理解
ちふれが単に化粧品を作るだけでなく、3つの「C」を軸に保育園運営やZ世代との共創など、社会課題の解決に挑戦していることを知り、企業をより身近な存在として捉えることができるようになりました。
次回予告:美容研究部によるスキンケア・ベースメイク講座・実践ワーク

美容研究部員の実演・指導により、受講生一人一人がプロのスキンケアとベースメイクを経験します。
第5回、第6回の2回の授業で「私らしさ」を表現する化粧技術を学び、「鏡」(実際の鏡と他者という鏡)を通じて「私らしさ」を考えます。

第3回 体感した「プロの技」―新しい自分に出会う喜び、固定観念からの解放

1.前回授業の振り返り―ちふれ社員の真摯なフィードバックに受講生が共感

受講生が提出した第2回授業のリアクションペーパーの中から、特に多かった学生の感想を6点挙げていただきました。

①プロにもある「黒歴史」への共感
②「似合わない色はない」という発見
③否定されて気づく「自分の好き」もある
④「素のまま」の自分も肯定する
⑤「周囲の目やSNS」との向き合い方
⑥TPOと「自分らしさ」の両立

リアクションペーパーを読み込み、受講生の言葉に耳を傾け、学生に真摯に向き合う社員の皆様の姿に、受講生はさらなる親近感をもったものと思います。「似合わない色はない」を受講生はメイクデモンストレーションの中で実感することになります。

2.メイクデモンストレーション ―固定観念を解き放つカラーマジック

2つのグループに分かれ、各グループ3名のモデルに「プロの技(わざ)」を披露していただきました。
デモンストレーションの内容は以下の通りです。

①美容研究部社員がモデルの顔立ち等を説明
②顔立ち等を活かし、眉を中心としたポイントメイクを実践
③メイクの意図、テクニック、ポイント等を解説
④学生の質疑応答は随時(広報課社員がサポート)

Aグループ1人目のH.Iさんは、可愛らしい顔立ちを活かしつつ、眉とオレンジ系のチークで大人っぽく仕上げられました。2人目のS.Iさんは、シェーディングを効果的に使って幼さを抑え、シャープで洗練された印象へと変化しました。3人目のKさんは、アスリートとしての力強さをもちつつも、ピンク系のアイシャドウで華やかなエレガントさを表現し、周囲を驚かせました。
一方、Bグループ1人目のSさんは、落ち着いた印象にチークで柔らかさを加え、親しみやすさを演出しました。2人目のTさんは、あどけなさが残る顔立ちをアイライン等の工夫で神秘的かつ大人な表情へと変貌させました。最後に山崎先生が登場し、意思の強そうな印象を、眉の形を整え暖色系のチークを重ねることで、優しく女性らしい雰囲気にまとめてくださいました。

モデルの皆さんから共通して聞かれたのが、「自分ではない自分」に出会ったことへの純粋な驚きです。グループAのモデルS.Iさんは、鏡を見て「自分じゃないなと思うぐらい変わっていた」と漏らし、特にシェーディングによる自然な小顔効果に感動していました。グループBのTさんも同様に「鏡に映った自分が自分じゃないみたい」と、変身した自身の姿に驚きを隠せない様子でした。
「似合わない」という思い込みが払拭された瞬間の感動も鮮明でした。グループAのH.Iさんは、自分には似合わないと避けていたオレンジ系の色がプロの手法で巧みに取り入れられ、「いい発見になった」と声を弾ませています。また、Kさんは、アスリートとしての自分とは異なる「ピンクが似合う新しい自分」に出会えたことについて、「とても嬉しい」と深く感動した様子でした。
さらに、長年のコンプレックスが解消されたことによる安心と喜びも読み取れます。山崎先生は、「意思が強く、きつく見られがち」という悩みを抱えていましたが、眉の形や色を整えることで「優しく女性らしい」印象に変わったことを実感し、周囲からの「可愛い」という声に「嬉しい」と素直な喜びを表現していました。

これらの声から、モデルたちが「メイクはなりたい自分を表現するための有力なツールである」という授業のメッセージを、身をもって体感したことが伝わってきます。単に綺麗になったことへの感動だけでなく、プロの視点によって自分の骨格や個性を肯定されたことが、彼女たちの自信に満ちた明るい声につながっています。
モデルたちの感動は、単なる外見の変化に対する喜びを超え、「知らなかった自分の魅力との出会い」や「固定観念からの解放」に根ざしていたように思います。そして何よりも、なりたい自分になった彼女たちの笑顔が印象的でした。

モデルを見守った他の受講生たちは、単なる見学者ではなく積極的にデモンストレーションに関わり、プロの技術を自分事として吸収しようとする姿が随所に見られました。
左右差の悩みやツールの選び方について活発な質問が飛び、美容研究部員は「骨格や筋肉の動きを意識すること」や「ブラシなどのツールを使い分ける重要性」を丁寧に解説しました。
モデルのメイクが完成するたびに、「すごい」「顔が小さくなった」「印象が全然違う」といった驚きと感動の声が上がりました。

3.リアクションペーパーから見えた受講生の心の変化

受講生たちは当初、特定の色の苦手意識などの「固定観念」にとらわれていました。しかし、プロの技術による劇的な変化を目の当たりにし、「メイクは魔法」だとの発見がありました。特に前回のフィードバック「似合わない色はない」を実体験したことで、苦手だった色へ挑戦する意欲が芽生え、心理的なハードルが大きく下がったようです。
モデルを務めた学生は「新しい自分」の発見に喜び、周囲との交流を通じて自己肯定感を高めています。他の受講生も、メイクが単なる外見の修正ではなく、表情を晴れやかにし「心まで変化させる力」があることを実感したようです。多くの学生がメイクを「なりたい自分を表現する楽しいツール」と再認識し、明日からの自分に期待を寄せる、前向きな一歩を踏み出せたようです。
次回予告:ちふれの紹介とディスカッション

ディスカッションテーマ:あなたの「My Pace Beauty」とは??
自分のペースでいい。背伸びをしない美しさへ。授業は「私らしさとは何か」に向かっていきます。

第2回「黒歴史」から「なりたい自分」まで―ちふれ社員と本音で語り合う、化粧と自己表現や自分らしさとの葛藤

4月16日の第2回授業「ちふれ社員とのメイク座談会」では、ちふれホールディングス株式会社の社員5名と、スペシャルゲストの本学山崎萌々子先生がパネラーとして前半の「トークセッション」に登壇しました。学生たちの事前アンケートをもとに、複数のテーマを設定し、化粧にまつわる「本音」に深く切り込む、熱量の高いパネルトークが繰り広げられました。
後半はグループに分かれて、パネラーと受講生による「グループ別座談会」を行い、グループ代表が座談会で話し合った内容をそれぞれ発表しました。

1. トークセッション 失敗も経験のうち?社員が語る「メイクの黒歴史」

「小顔に見せたくて肌を真っ黒に焼いていた」というちふれ社員のエピソードや、「1970年代の強い女性に憧れて、跳ね上げラインの『ブルゾンちえみ風』メイクを3年間続けていた」といった山崎先生の意外な過去が明かされ、会場は笑いに包まれました。これらのエピソードを通じ、「その時はそれがかっこいいと信じていた」という、当時の自己表現と、時代や環境による変化が語られました。

「誰かのためのメイク」と「自分のためのメイク」の間での葛藤や悩み

「トークセッション」冒頭は、「メイクにまつわる黒歴史」がテーマでした。
「小顔に見せたくて肌を真っ黒に焼いていた」というちふれ社員のエピソードや、「1970年代の強い女性に憧れて、跳ね上げラインの『ブルゾンちえみ風』メイクを3年間続けていた」といった山崎先生の意外な過去が明かされ、会場は笑いに包まれました。これらのエピソードを通じ、「その時はそれがかっこいいと信じていた」といった、当時の自己表現と、時代や環境による変化が語られました。

• SNSやパーソナルカラーの呪縛:
「イエベ・ブルベ」(イエローベースとブルーベース)などの診断に縛られ、自分の好きな色が使えなくなった経験や、Instagramでの反応を気にして「普通の人に見える無難なメイク」を選んでしまったなど、現代特有の葛藤や悩みにも触れられました。

• プロの使い分け:
ちふれ美容研究部の社員からは、「仕事ではお客様に安心感を与える『売り手としてのプロの自分』を作るが、プライベートでは真逆の濃いリップや好きなメイクを全力で楽しむ」という、「社会人としての役割」と「個人の楽しみ」を両立させる考え方が提示されました。
「私らしさ」は柔軟にアップデートしていい

「なりたい自分」や「私らしさ」とは何かというテーマに対し、ちふれ社員からは「環境や変化に合わせて柔軟にアップデートできる自分」という考え方が示されました。
大学生時代、野球場で売り子のアルバイトをしていた時は、遠くからでも目立つ華やかなメイクでエネルギッシュさを表現していた登壇者も、現在は透明感のあるナチュラルなベースメイクに力を入れていること、また、「なりたい自分」に合わせて、化粧を「手段」として使いこなすことで、自己肯定感を高めることの有効性が語られました。

2. グループ別座談会

後半の「グループ別座談会」では、少人数に分かれて議論を深めました。
自分に合うメイクの探求や始めたきっかけ、さらにはメイクのTPOや就活における自己表現とマインドの切り替え、パーソナルカラーの主体的な解釈、そして他者との関わりやメディアを通じて見いだす「自分らしさ」の確立など、多角的な視点からメイクと自己のあり方について議論しました。単なる化粧の方法論ではなく、「なぜメイクをするのか」「社会の中でどう自分を表現するか」という、アイデンティティに関わる深い対話も行われました。

3. リアクションペーパーから見えた受講生の心の変化

受講生が提出したリアクションペーパーからは、化粧品会社の社員という「メイクのプロ」にも自分たちと同じような「メイクの黒歴史(失敗談)」や葛藤があったことを知り、親近感と安心感を抱くようになったことが分かります。今後、デザイン思考にもとづく授業を社員の方々と一体感をもって進めていくうえでは、親近感や安心感は極めて重要です。また、「パーソナルカラー」などの固定観念から解放されたこと、さらにはメイクを通じた自己理解が深まり、前向きな挑戦意欲が芽生えたなど、受講生の成長がうかがえます。
次回予告:美容研究部によるデモンストレーション

次回の第3回授業では、今回の対話を受けて「実際のメイクってどうなの?」という問いに答えるべく、美容研究部によるデモンストレーションが実施されます。学生5名がモデルとして登場し、プロの技によってメイクで大きく変わる人の印象をリアルに体験します。

第1回「本当に欲しい『就活メイク』の条件を探る」

4月9日の第1回授業「ガイダンス」には150名を超える履修希望者が参加し、アンケート結果からも女子大生のメイクやスキンケアへの関心の高さがうかがえました。「私らしさとは何か」を考えたいという受講理由を挙げた学生も多かったです。
初回授業ではガイダンスの後、「本当に欲しい『就活メイク』の条件を探る」と題したペアワークを行い、お互いに相手の深層心理に迫り、デザイン思考の最初のステップである、「共感」の重要性や奥深さを体感しました。
受講生が提出したリアクションペーパーからは、受講生は単なるメイクやスキンケアの技術だけでなく、社会的な文脈や自己理解としてのメイクに強い関心をもっていることが分かりました。ペアワーク等を通じて、肌の悩みやメイクへの苦手意識を持っているのは自分だけではないと知り、他者への共感を通じて安心感を得た学生も多くいました。他者のメイクに対する考え方や価値観を聞くことで、自分一人では気づかなかった「メイクの捉え方」や、客観的に見た自分の魅力に気づかされたという声もありました。

学生同士が対話を通じて共感し学び合うことの価値や重要性を、学生自らが証明してくれた初回授業となりました。
次回からはちふれホールディングス様にご協力いただき、デザイン思考の「共感」ステップをさらに深めていく授業が続きます。
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