心理的リアクタンスpsychological reactance
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- 今から勉強するつもりだったけれど、母親に「早く勉強しなさい!」と言われて、途端にやる気が失せた。
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私たちは、何かに自分の行動の自由を脅かされたり、実際に自由を奪われたと感じたとき、その自由を回復するように強く動機づけられます。この動機づけられた状態を心理的リアクタンスと言います。心理的リアクタンスが生じやすい典型的な状況は、他の人からある特定の行動をとるように強制されたときや、行動の選択肢が制限されたと感じるときです。「絶対にやるべき」あるいは「絶対にやるべきではない」などの強制的な表現を使われと、むやみに腹が立ったり、反発したい気持ちになるのはこのためです。
心理的リアクタンスは、日常生活のさまざまな場面で生じる可能性があります。失われた自由の回復を最優先にすると、結果的に損をする場合も多いので、注意が必要です。
【参考文献】
Brehm, J. W. (1966). A theory of psychological reactance. Oxford, England: Academic Press.
Rosenberg, B. D. & Siegel J. T. (2018). A 50-year review of psychological reactance theory: Do not read this article. Motivation Science, 4, 281-300.
Zemack-Rugar, Y., Moore, S. G., & Fitzsimons, G. J. (2017). Just do it! Why committed consumers react negatively to assertive ads. Journal of Consumer Psychology, 27, 287-301.