オーストリッチ効果ostrich effect
知らぬが仏
- たとえば…
- 健康診断の結果、血圧に要注意マークがついていたようだが、細かい数字まで確認せずに、そのまま封筒に戻した。
あなたは、老後資金の足しにするという長期計画に基づき、ボーナスの一部で株を買いました。持ち株の現在の値段は、スマホやパソコンを使えば自由に確認することができます。
自分の持ち株の値段を確認する頻度が下がるのはどんなときだと思いますか。あなたの考えに近いものを選んでください。
- 日経平均株価が前日より上がっているとき
- 日経平均株価が前日と同じあるいは下がっているとき
- どちらも変わらない
あなたは(A)~(C)のどれを選びましたか?
例題と類似した研究を行ったところ、(B)のように金融市場全体の値動きが良くないときの方が、(A)のように好調のときよりも、自分の資産価値を確認する頻度が下がる傾向が見られました。また別の研究では、金融市場の不確実性が高いときは、値動きの情報が市場に頻繁に出回る金融商品よりも、出回らない金融商品の方が好まれることが示されました。私たちは、自分を不快にする情報を直視したくないと考える傾向を、基本的に持っているようです。
英語のことわざに、「危険を避けるために、ダチョウは砂の中に頭を隠す」というものがあります。頭を砂の中に埋めれば、とりあえず、危険は自分の視界から消えます。しかし、危険の存在自体が消えるわけではないため、合理的な行動とは言えません。そして、このダチョウのように、危険がそこに存在していないかのように振る舞うことで、危険そうに見える状況を避けることをオーストリッチ効果(ダチョウ効果)と呼びます。実際のダチョウは、危険が迫っているときに、砂の中に頭を隠したりはしないそうですが、人間の場合は、そうとも言い切れないようです。
【参考文献】
Galai, D. & Sade, O. (2006). The "ostrich effect" and the relationship between the liquidity and the yields of financial assets. Journal of Business, 79, 2741-2759.
Karlsson, N., Loewenstein, G., & Seppi, D. (2009). The ostrich effect: Selective attention to information. Journal of Risk and Uncertainty, 38, 95-115.