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非対称な洞察の錯覚illusion of asymmetric insight

私はあなたのよき理解者、でも、あなたは?

たとえば…
私はパートナーのことを本人以上によく理解している。でも、パートナーの方は私のことをあまり理解していないと思う。

考えてみよう

親しい友人を一人思い浮かべてください。その友人をAさんとして、次の質問に答えてください。

(1) あなたはAさんのことをどれくらいよくわかっていますか?

0点(まったくわかっていない)から10点(完全にわかっている)の間で答えてください。

(   )点

(2) Aさんはあなたのことをどれくらいよくわかっていますか?

0点(まったくわかっていない)から10点(完全にわかっている)の間で答えてください。

(   )点

Pronin, Kruger, Savtisky, & Ross(2001)を一部改変

解説

例題(1)と(2)に対して、あなたはどのように答えましたか?

同様の設定で実験を行ったところ、「(1) Aさんについてのあなたの理解度」の方が、「(2) あなたについてのAさんの理解度」より高いと思っていることが明らかになりました。私たちは、行動を観察することで、相手について多くのことを学べると考えていますが、観察によって相手を理解する力は、自分の方が上だと過信しているようです。

さらに言うと、観察を土台にした相手(Aさん)についての「あなたの理解度」は、「Aさん自身の自己理解度」よりも優れていると自負しています。その一方で、お互いの立場を逆にした場合、あなたに対する「相手(Aさん)の理解度」よりも、「あなた自身の自己理解度」のほうが優れているだろうと考えがちです。

以上で述べたような、「私はAさんのことをよく理解しているし、私のAさんに対する理解は、Aさん本人の自己理解さえも超えている。それに比べて、Aさんは私のことをあまり理解していないし、Aさんの私に対する理解は、私自身による自己理解以下だ」という何重にも偏った思い込みは、非対称な洞察の錯覚と呼ばれています。これは人が示すナイーブ・リアリズムの一例です。

関連記事:ナイーブ・リアリズム

【参考文献】
Pronin, E., Kruger, J., Savitsky, K., & Ross, L. (2001). You don't know me, but I know you: The illusion of asymmetric insight. Journal of Personality and Social Psychology, 81(4), 639-656.

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