行為者-観察者バイアスactor–observer bias
これは状況のせい・それはあなたのせい
- たとえば…
- 自分が遅刻した時は電車の遅れのせいだと思うが、友だちが遅刻した時はだらしがないせいだと思う。
(1) あなたは、家に大事な書類を忘れてきました。このようなことが起きた理由として、どんなものが考えられそうですか?あてはまりそうなものすべてに○をつけてください。
- そそっかしい性格だから
- 整理整頓が苦手だから
- その日は持っていく荷物が多かったから
- 書類が鞄に入らない大きさだったから
(2) 同僚が、家に大事な書類を忘れてきました。このようなことが起きた理由として、どんなものが考えられそうですか?あてはまりそうなものすべてに○をつけてください。
- そそっかしい性格だから
- 整理整頓が苦手だから
- その日は持っていく荷物が多かったから
- 書類が鞄に入らない大きさだったから
あなたはどの理由に○をつけましたか?
出来事が生じた理由(原因)について答える場合、例題(1)のように自分自身の行動について尋ねられたときは、自分の性格を強調する理由(A)や(B)と、その場の状況を強調する理由(C)や(D)を同程度挙げるようです。つまり、自分の行動について考える場合には、個人の性格のような内的特性だけでなく、その行動を引き起こした状況の特徴についても考慮されます。
一方、例題(2)のように他者(同僚)の行動について尋ねられたときは、状況の特徴(C)や(D)が影響していたとはあまり考えず、その人の性格(A)や(B)が、その行動の主な原因であると答えやすいようです
このように、行為者として自分の行動の原因を考えるときには、状況の影響力も考慮する一方で、観察者として他者の行動の原因を考えるときには、行為者の性格や能力のような内的特性を重視しやすい傾向を、行為者ー観察者バイアスと言います。
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【参考文献】
Jones, E. E., & Nisbett, R. E. (1972). The actor and the observer: Divergent perceptions of the causes of the behavior. In E. E. Jones, D. E. Kanouse, H. H. Kelley, R. E. Nisbett, S. Valins, & B. Weiner (Eds.), Attribution: Perceiving the causes of behavior (pp. 79-94). Morristown, NJ: General Learning Press.
Nisbett, R. E., Caputo, C., Legant, P., & Maracek, J. (1973). Behavior as seen by actor and as seen by the observer. Journal of Personality and Social Psychology, 27, 54-164.