ギャンブラー錯誤gambler's fallacy
次はアタリがくる
- たとえば…
- 何の細工もないルーレットで5回続けて黒い枠に玉が入ったら、次は赤い枠に入る確率はかなり高いと思う。
(1) あなたのお財布のなかにあるコインを1枚借りて、コイン投げをして遊ぶことにしました。コインにはもちろん何の細工もありません。いま、続けて8回「オモテ」が出ました。
次に「ウラ」が出る確率を予想してください。
- 100%
- 80%
- 50%
- 20%
- 0%
(2) ここに、偶数の目の出る確率が50%よりほんの少し低いサイコロがあります。いま、10回サイコロを振ったところ、10回すべて奇数が出ました。
さて、次にサイコロを振って、偶数が出る確率を予測してください。
- 50%よりかなり高い
- 50%よりほんの少し高い
- ちょうど50%
- 50%よりほんの少し低い
- 50%よりかなり低い
(2)はゼックミスタ & ジョンソン (1996)より一部改変
例題(1)では、あなたの予測はどのくらいでしたか。(A)や(B)を選択しませんでしたか。正解はもちろん(C)「50%」です。
例題(2)でも、やはり(A)や(B)を選択したのではないでしょうか。問いをよく読むと、「偶数の目の出る確率が50%よりほんの少し低い」とありますので、正確は(D)「50%よりほんの少し低い」です。
事象の確率を予測するとき、過去の事象の生起確率に影響されることがあります。例題のように二者択一(偶数か奇数か)のゲームを続けているときに同じ事象が続くと、多くの人が次の事象は「前の事象とはきっと異なるだろう」「その生起確率は前よりも高くなるにちがいない」など、自己修正的に考えることがあります。こうした予測の誤りをギャンブラー錯誤といいます。
【参考文献】
Tversky, A., & Kahneman, D. (1971). Belief in the law of small numbers. Psychological Bulletin, 76, 105-110.
ゼックミスタ, E. B., & ジョンソン, J. E. 宮本博章・他(訳)(1996). クリティカルシンキング入門編 北大路書房