おとり効果decoy effect
引き立て役があると
- たとえば…
- 松竹梅のランクのコースメニューがあると、つい「竹」のコースを選んでしまう。
あなたは、スマホを買おうとして販売店にやってきました。販売員は、性能は良いが価格が高いスマホAと、性能は劣るものの、Aよりも価格が安いスマホBを勧めます。あなたが決めかねていると、販売員は新たなスマホを持ってきました。このスマホXは、スマホBよりも性能が優れているのですが、スマホAの性能には及ばず、また価格はスマホAよりもさらに高いということがわかりました。
このような場合、あなたならどのスマホを購入しますか。
- スマホA
- スマホB
- スマホX
例題のような状況では、当然ながらスマホXが選ばれることはありません。しかしスマホAに比べて、性能面でも価格面でも明らかに見劣りをするスマホXという選択肢を加えることにより、スマホAの魅力が高まることがわかっています。その一方、スマホAと比べても、スマホXと比べても、部分的にしか優れていないスマホBの魅力は低下するため、結果的にスマホBは選ばれにくくなります。つまり、スマホXはスマホAを選ばせ、スマホBを選ばせないための、おとりとして機能したわけです。
おとり効果は、狭義では、この例題のように、2つの選択肢のいずれかに対して明らかに劣った3つ目の選択肢(おとり)を提示すると、一方の選択肢が選ばれやすくなる現象を指します。しかし広義では、単に選ばれにくい選択肢を導入することで他の選択肢の魅力が高まることを指す場合もあり、松竹梅のランクのメニューがあったとき、「松」という高額な商品があるがために、「梅」よりも「竹」が選ばれやすくなるといった現象も、おとり効果と呼ばれています。
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【参考文献】
アリエリー, D. 熊谷淳子 (訳) 予想どおりに不合理:行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 早川書房