Yahoo! JAPAN

  • このサイト内を検索
  • ウェブ全体を検索

人気ワード   |   バーナム効果   ハロー効果   虚記憶   フレーミング効果

信念バイアスbelief bias

結論次第

たとえば…
最後にテレビのコメンテーターが言った、わかりやすい結論を聞いたら、途中で混乱していた部分も、なんだか納得できた気がする。

考えてみよう

以下の2つの例題の「結論」は、「前提1」と「前提2」が正しかった場合、必ず正しいでしょうか。AかBのどちらかを選んでください。

(1)
前提1:億万長者に、働きすぎの人はいない。
前提2:お金持ちの中には、働きすぎの人もいる。
結論:億万長者が、お金持ちでないこともある。

  • 正しい
  • 正しくない

(2)
前提1:依存性を持つ商品に、値段が安いものはない。
前提2:たばこの中には、値段が安いものもある。
結論:依存性を持つ商品が、たばこでないこともある。

  • 正しい
  • 正しくない

Evans, Barston, & Pollard(1983)を一部改変

解説

あなたは2つの例題に対して、(A)と(B)のどちらを選びましたか?論理的に考えれば、どちらの例題も、前提1と前提2から、最後に示された結論を導き出すことはできません。そのため、「B. 正しくない」を選ぶのが正解になります。しかし、例題(2)の方が、例題(1)より、正解を選ぶことが難しいようです。それはなぜでしょうか。

実は、例題(1)と例題(2)では、結論のもっともらしさが違っていました。例題(1)の結論には「億万長者が、お金持ちでないこともある」と書かれています。しかし、億万長者とは非常に多くの財産(お金)を持っている人を指す言葉であり、「(大金持ちである)億万長者が、お金持ちではないこともある」という結論は、直感的に納得しにくいものです。このような場合、結論に至るまでの考え方にもきっと問題があるに違いないと判断しがちです。

一方、例題(2)の結論には「依存性を持つ商品が、たばこでないこともある」と書かれています。たばこ以外で依存性持つ商品として、アルコール飲料や、カフェイン入りのコーヒーなどが簡単に思い浮かぶため、「依存性を持つ商品が、たばこでないこともある」という結論は、比較的納得しやすいものです。このような場合、結論のもっともらしさにつられて、結論に至るまでの考え方も正しいに違いないと安易に判断しやすくなります。

このように私たちは、示された「結論」がもっともらしいと、その結論に至るまでの「論理的推論の妥当性」も、あわせて高く評価しがちになります。これを信念バイアスと言います。しかし、「結論」がもっともらしくても、その結論に至るまでの推論方法が妥当であるとは限りません。逆に、「結論」が納得できないものであっても、推論方法自体は妥当な場合もあるのです。結論にばかり注目していると、うっかり騙されて後悔するかもしれません。

【参考文献】
Evans, J. St. B. T., Barston, J. L., & Pollard, P. (1983). On the conflict between logic and belief in syllogistic reasoning. Memory and Cognition, 11, 295-306.

Copyright © 2018 Masami IKEDA Laboratory, All Rights Reserved.