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ゼロサム・バイアスzero-sum bias

食うか食われるか

たとえば…
「お互いにWin-Winの関係を築きましょう」と言われたけれど、得をする人がいたら、当然損をする人もいると思う。

考えてみよう

N大学の英語のクラスには、20人の学生がいます。学期の最後に英語による発表が行われ、あらかじめ決められた基準に沿って5点満点で点数が付けられます。現在、19人目の学生まで発表が終わっており、それぞれの点数は以下の通りでした。

グラフ

これから、20人目の学生が発表を行います。
この学生は1~5点の内、どの点数を一番とりそうですか?

(    )点

Meegan(2010)を一部改変

解説

あなたは何点だと予測しましたか?

例題の中に、「あらかじめ決められた基準に沿って点数が付けられる」と書かれていますので、この点数は絶対評価です。そのため、これまでの発表で最も人数が多かった点数(例題の場合は、4点や5点)を予測するのが妥当な推測方法でしょう。しかし、図のように、「これまでは低得点より高得点を取った人が多かった」という情報が示されると、むしろ人数が少ない低得点(1点や2点)を、20人目の学生の点数として予測する人が増えます。この予測には、ゼロサム・バイアスが関係していると考えられています。

誰かが得をしたら、それと同じ分だけ誰かが損をして、差し引きの合計(サム)がゼロになる状況を「ゼロサム」と呼びます。私たち人類は、はるか昔から、限られた資源をめぐってグループ内で争ってきました。そのため、実際にはゼロサムではない状況でも、ゼロサムに違いない(誰かが得をしたら、その分誰かが損をしているはず)と直感的に判断しがちです。これをゼロサム・バイアス(あるいは、ゼロサム・ヒューリスティック)と呼びます。

実際にはゼロサムではない場合でも、例題のように高得点が頻発している状況を目にすると、私たちは、「おいしい部分は、もう他の人が持って行ってしまった」と短絡的に考えやすくなります。自分が置かれている状況は本当にゼロサムなのか、判断を行う前に、改めて考えてみる必要がありそうです。

【参考文献】
Meegan, D. V. (2010). Zero-sum bias: Perceived competition despite unlimited resources. Frontiers in Psychology, 1, 191.

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