有名性効果false fame effect
一夜にして有名に
- たとえば…
- 選挙運動で同じ名前を何度も見聞きしているうちに、顔も知らない新人候補者が有名人のように感じられてきた。
次の選択肢のうち、有名人の名前だと思うものを選んでください。
- 白井航平
- 福原佳純
- 大迫知良
- 寺川恭子
- 山縣祥秀
- 増田尚子
例題に示した名前は、有名人(スポーツ選手)の姓と名を組み合わせて作成したものです。すべて架空の名前ですが、なんとなく見覚えがあるような気がして、有名人のものだと思ったりはしなかったでしょうか。ジャコビーらが行った実験では、架空の名前の発音のしやすさを評価させた翌日に、同じ名前を見せたところ、有名人の名前だと取り違えられやすかったことが報告されています。つまり、本来は無名の名前が一夜にして有名人の名前になってしまったのです。これを有名性効果といいます。
有名性効果が生じるのは、以前にその名前に触れたことがあると、再び同じ名前に触れたときに「見知った感じ」がするからだと考えられています。この際、「見知った感じ」が何に由来するものかが明らかでないと、「その名前の人物は有名であるから」と、誤った原因に帰属されてしまうために有名性効果が生じます。すなわち、有名性効果は誤帰属の一種だと考えられます。
選挙運動では、至るところに候補者のポスターが貼られたり、宣伝カーで名前が連呼されたりします。また新人タレントは、なるべく露出を増やし、多くの人の目に名前が触れるようにします。いずれも知名度を上げるための努力ですが、同時に有名性効果を狙ったものだとも言えるでしょう。
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【参考文献】
Jacoby, L. L., Kelley, C., Brown, J., & Jasechko, J. (1989). Becoming famous overnight: Limits on the ability to avoid unconscious influences of the past. Journal of Personality and Social Psychology, 56, 326-338.