被害者非難victim blaming
全ては因果応報
- たとえば…
- スリ被害にあったらしいけど、それって本人も不注意だったからでは?
あなたは、正社員として働いているとします。朝、ニュースを見ていると、失業中でなかなか正社員の職につけない人のインタビューが流れました。
この人が正社員の仕事につけない理由は何だと思いますか。あなたの考えに近い方を選んでください。
- 能力や仕事探しの努力が足りないせい
- 社会の構造に問題があるせい
例題に対して、あなたは(A)と(B)のどちらを選びましたか?
正社員として働いている人は、このような場合、(A)のように「その人の能力や仕事探しの努力が足りないせいではないか?」と考えることが多いようです。
私たちは、自らの心の平和を保つために、世界は基本的に公正であるという強い信念を持って暮らしています。しかし、能力的にも問題のない人が、必死になって探しているのに、どうしても仕事が見つからないことが事実であるとすれば、世界の公正性が疑われることになります。そこで、「世界が公正である」という自分の信念を守るために、本来なら被害者とみなされるような個人を、「努力が足りない」「自己責任だ」などと一方的に非難し、責任を押しつけようとする行動が生じます。これは、公正世界仮説に基づく被害者非難だと言えます。
やむなく事故や暴力事件に巻き込まれた被害者を、「本人にも悪いところがあったのでは?」などと不当に非難する現象も、同様のプロセスによって説明できます。このような不当な非難にさらされた場合、事故や事件の被害者は心に大きな傷を負いがちです。
【参考文献】
Furnham, A. (2003). Belief in a just world: research progress over the past decade. Personality and Individual Differences, 34, 795–817.