編集後記

8取材班、まざり合う新鮮な価値観に感動

・・・地域の御協力に感謝(鈴木稚菜編集長)

 この総合科目「にいざ十文字発世界へ!」は、十文字学園女子大学の留学生と日本人学生が一緒になって埼玉県新座市に住む世界各国の方々を訪問。日本や地域のくらしついてインタビューし、執筆した記事と写真を組み合わせてWEBを制作することを目指して取り組んできました。普段の授業では味わえることが出来ない体験的かつ国際的 な内容であることが魅力です。
 私は新座の商店街にあるお肉屋さんを夫婦で営むイタリアの篠田イラリアさんにお話を伺いました。イラリアさんは2人の子供を育てている母親の視点から、外国と日本を比べて、「日本がどれほど安心できる国なのか」を、一生懸命説明してくれました。とてもよく分かるお話で、日本人として誇らしかったです。また「イタリアの方は思ったことをはっきり言うけれども、日本人は言えずに溜め込む」というお話も印象的で、「日本人がお となしいと言われるのはこんな理由からなのか」と納得しました。
 今回は、アメリカ・フィンランド・ネパールなど様々な国の方に取材しました。お答えいただいたインタビューの内容は、多様で奥が深く、私たち学生の心に刻まれるものばかりでした。私たちは、取材編集にあたって「ただインタビューするのではなく、インタビュー後にどのような内容なら人は興味を持って読んでくれるのか」を常に考え続けました。もっとも、決められた文字数で記事を書いたり、見出しを付けたり、試行錯誤しながら進める共同作業は大変でした。その積み重ねの結晶ともいえる、完成間近のWEB画面を見た時は達成感がこみ上げてきました。
 WEBがアップした今、単なる楽しい創作的な授業にとどまらない新鮮さを感じています。これほど世界について考えることは、私自身、かつてなかったからです。その新鮮さはどこから来たのでしょうか。きっとそれは、8チームの取材体制(内側)が留学生と日本人学生4人一組の合同班で、かつインタビューのお相手(外側)は様々な物の見方と豊かな感性を持つ外国の多くの方々であったという、それこそ「多様な価値観」の融合作用から生まれているのではないでしょうか。
 正直なところ、「内側の刺激」と「外側からの刺激」の成果の実感は、まだおぼろげです。しかし、そのキーワードは「新座という地域の暮らしと文化の温かさを土壌として混ざり合うグローカルな価値感」の創造へと発展していくのだろうと思います。
 今回の授業を機会に、「まだまだ知らない外国のことを知ろう」「もっと世界に目を向けて生きていこう」という学生の声が聞かれるようになりました。「国際化」という三文字の意義を、私たち学生の実感を込めて十文字の新座キャンパスから発信できたことに喜びを感じています。新座市の金子廣志教育長、櫻博子新座市国際交流協会副会長はじめ、私たちのインタビュー取材に多大な御協力をいただきました方々に心から感謝致します。

世界観が広がり私の課題が見えてきた

(リテイギョク副編集長)

 2015年度前期の総合講座「にいざ発世界へ」では、新座在住の外国の方々にインタビューを行い、その内容を記事にまとめ、WEB発信するということを目標にしてきました。学科、学年、国籍(日本人学生、留学生)がまじりあいグループを作り、インタビューの準備、実施、記事まとめを経て無事WEBに載せることができました。インタビューの相手も外国の方々で、また学生も多国籍で、この授業はとても国際的だと思いました。
 私たちの班はイギリス出身の本学シーラ・クリフ教授にお話を伺いました。シーラ先生は日本の着物に出会ってから、ずっと和服に関して研究していらっしゃいます。「おかしいな、外国人が着物をきて・・・・」とも言われた経験がおありだとのこと。でも、実は、「日本人に着物をぜひ着てほしい、自国の文化を大事にしてほしい」というメッセージを伝えたいがため、いつも着物を着ているそうです。日本文化を大切に考えるシーラ先生の色々なお話は留学生の私の心に強く響くものがありました。
 授業を通して、記事のまとめ方を学べたことはもちろん、自分の世界観も少し広がったような気がします。グローバル化したといわれる現在、これから自分が何をすべきか、課題の一端が見えてきたように思います。それを目指し、これからも頑張っていきたいと思います。

「好奇心があるから怖くない!」に勇気もらった

(栗原華織副編集長)

 この授業は留学生と日本人学生が一緒になって、取り組むことが最大の醍醐味でした。留学生とともに参加型の授業というのはあまり機会がないので、新鮮な気持ちで授業に臨めました。また、インタビューでは、様々な国の人々にインタビューをし、国際的に視野が広がりました。グローカルな体験をできて本当に良かったと思っています。
 私は、新座市国際交流協会、櫻博子副会長の紹介により、東京都西東京市で「ろうけつ染め」をしているフィンランド人の永原リタさんにお話を伺いました。そのパワフルな語り口から、「リタさんは日本が本当に好きなんだ」という印象を受けました。「知らない土地で暮らすのは大変だけれど、好奇心があるから、どこへ行っても怖くはない」…このひと言に心を打たれました。
 彼女の言葉を通して、私は、これから怖がらずに堂々といろんな世界へ飛びこんでいこうと思いました。この授業を履修していなかったら、こんなことも思えなかった、そんな気がします。

指導教員

◎WEB制作指導
 北原俊一教授(メディアコミュニケーション学科)

◎取材編集指導・取材コーディネート
 小笠原典子教授(日本語指導)、
 池間里代子教授(中国語指導)

◎企画取材編集指導・デスク
 大西正行教授(メディアコミュニケーション学科、留学生別科長)、
 石野榮一教授(メディアコミュニケーション学科)

ご登場いただいた方々


イラリアさん

櫻さん

ジャニーンさん

シュレスタさん

シーラ先生

パパッソンさん

マシューさん

リタさん

編集後記


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「グローカル」って何だろう

新座という地元(ローカル)と、そこに根を下ろし生活する外国人(グローバル)との出会いからどのような物語が生まれるのか。

本学の日本人学生と留学生が外国人、さらに国際交流を支える日本人へのインタビューを通しグローカルの真の意味を理解しようと努めた記録である。

(2016年前期総合科目「にいざ十文字発世界へ!」)