国の壁を打ち破り交流を

埼玉県国際課に勤務 徳間菲さん(中国出身)

(取材班:オウシノク、シュウチョウ、リテイギョク、ロジュウ)

 中国上海出身の徳間菲(トクマ フェイ)さんは、26年前に結婚し、現在、日本人のご主人と2人の娘さんと埼玉県に住んでいる。埼玉県庁での仕事も9年目となり、埼玉県国際課の非常勤職員として、主に通訳と翻訳の仕事をしている。

交流の大切さを語る徳間さん

 「国際課では多文化共生・NGO担当で、国際フェア開催に関わる仕事をしたり、子供向けのいろいろなニュースの配信を行ったりしています。ここで周りの人と協力して、自分なりに仕事の能力を上げていきたいと考えています」
 笑顔で語る徳間さんは、埼玉県在住の外国人サポート、各種情報の翻訳、中国研修団の通訳も行っている。
 「通訳の仕事では、事前にもらったスピーチ原稿を基に準備するのですが、時々、突然スピーチの内容を変えてお話する方がいるんです。こちらは心の準備もないまま、どうしようと焦っちゃいますが、それでもとにかく一生懸命通訳をします」。通訳の仕事では事前準備はもちろん、その場の状況に合わせた臨機応変の対応が一番大切だと徳間さんは話す。
 日本の社会に溶け込むにつれ、日本と中国の文化的な違いも感じるようになったそうだ。「中国人は結構ストレートな表現をしますが、日本人は曖昧な表現を多く使いますね。どちらがいいか悪いかではなく、文化の特徴だと思います」


ご登場いただいた方々


ジェーンさん

ブレインさん

徳間さん

アンナさん

イルチェバさん

編集後記


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「グローカル」って何だろう

埼玉という地で暮らす人々(ローカル)と、そこに根を下ろし生活する外国人(グローバル)との出会いからどのような物語が生まれるのか。

本学の日本人学生と留学生が埼玉で暮らす外国の方々に会ってインタビューを試みた。多くの話から新たな知識や勇気をいただき、貴重なメッセージを受け取ることができた。これは「グローカル」の真の意味を理解しようと挑んだ十文字学園女子大学生の記録である。

(2016年後期総合科目「にいざ十文字発世界へ!」)

インタビューする学生

 日本語が堪能な徳間さんも、来日当初は全く日本語ができなかったという。日本語学校に通った経験もなく、一体どうやって日本語が上達したのか。「初めは新聞の人生相談欄を毎日読んで、発音を練習して、勉強したんです。子供が幼稚園に入ると、主人に助けてもらって、子供の連絡帳を日本語で書きました」
 幼稚園の先生との交流も順調に進み、その後、携わった小学校のPTAでの仕事が最も勉強になったという。「じゃんけんで負けて、PTAの広報委員になりました。広報誌の記事を書いたりすることで、さらに勉強するようになりました」
 徳間さんは地元の人との交流にも力を入れている。2007年から講師をしている中国語講座で多くの人と知り合うことができた。また、趣味のガーデニングを通じ、近所の人との交流も広がったという。交流の輪を広げるには、国の壁を破ることが必要だと徳間さんは強調する。
 「学生のみなさんにも、いつまでも自分は外国人だと思わないでほしいですね。外国人だと思うと、無意識に壁ができちゃいます。積極的に周りの人と交流したほうがいいですね」
 交流の大切さを強く語る徳間さん。今後も国際課で日中文化交流に積極的に取り組んでいかれることだろう。


徳間さんを囲んで



取材を終えて
◇同じ中国人として、徳間さんが日本で働く姿を見たら感動しました。通訳をする徳間さんはキラキラしていてとても憧れました! 徳間さんみたいな女性になりたいです。(オウ シンオク)

◇同じ中国出身の私は徳間さんにいろいろ話を伺って、深い共感を抱きました。徳間さんに特別な日本語の勉強の仕方を教えていただいて、よい勉強になりました。最も印象に残ったことは徳間さんのアドバイスです。国の壁を破る意識は大切だと思います。(シュウ チョウ)

◇今回私たちは埼玉県国際課に勤めていらっしゃる徳間さんにインタビューさせていただきました。たくさん話してくださった中で、異文化交流の大切さを新たに認識しました。自分も徳間さんのように、積極的に人々と交流していきたいと思います。(リ テイギョク)

◇徳間さんをインタビューしました。とても楽しかったです。いろいろな人と知り合いました。一番印象に残っていることは日本と中国の文化は違うのに、日本に溶け込んでいることです。日本に来た時、日本語がぜんぜんわからなかったそうです。この勇気は私にとっても一番大切なことです。(ロ ジュウ)