(取材班:栗原華織、チンシイ)
外国人は地元をあまり知らないだろうというイメージを根拠もなしに持っていた私たちにとって、ブレインさんとの出会いは衝撃的だった。特徴がない埼玉だと、多くの人は言う。けれど、「埼玉はちょっと珍しい県だと思います。簡単に都内に行けるし、自然を楽しみたければ、秩父などにも行ける。まちと自然の共生というか、そこが好きです」とブレインさんは熱く語る。
埼玉を熱く語るブレインさん
ブレインさんは埼玉の面白い観光地として、「知らない人も多いから、いつもいろんな人に薦めています。時間があったらぜひ行ってください」と、さいたま市北区にある日本唯一の「盆栽美術館」を教えてくれた。農業が盛んな故郷に似たものを感じたのか、ブレインさんの言葉から埼玉への熱い思いを感じた。
どうしてこうも埼玉大好き人間になったのか、話は日本との出合いから始まる。若い頃、日本の文化に興味を持ち日本の大学へ留学し日本語を勉強した。日本語を生かす仕事を探し、たどり着いたのが埼玉県庁だったのだ。
日本滞在中、大阪や横浜など大都会を転々としていたが、「実を言うと私は郊外に住むのが好きなんです」と勤務地として埼玉を希望したようである。
埼玉県庁でブレインさんは主に翻訳や、国際交流に関するプロジェクトを担当。翻訳にあたっては「何を説明しなければならないのかを判断し、工夫する力が必要になってくると思う」と話す。そして「いろいろな人と協力してイベントの仕事をしたおかげで埼玉の素晴らしさを学ぶことができた」と、楽しそうに話すブレインさんに、私たちは敬意を抱いた。
記念の1枚。ブレインさんは長身だ
そんなブレインさんからこんなアドバイスをもらった。「自分の夢、やりたい仕事、自分が興味を持っていることをずっと持ち続け、それを実現する努力をすることだと思う。私も最初、県庁に入ったときは、新しい仕事がたくさんあって自分に自信が持てずにいた。けれども、その難しい場面を超えられるように信念を持つことが大切だということに気づき、しっかりと自分自身を信じて様々な仕事を行えるようになった」
取材の最後には「日本から世界に飛び出して、いろんな国を知り、人と出会ってほしい」と私たちへの温かくも期待を込めたメッセージをいただいた。
埼玉という地を愛し、懸命に仕事と向き合っているブレインさんから、私たちも前へ進む力をもらった気がした。
ブレインさんの話に引き込まれた
取材を終えて
◇自分の夢、やりたい仕事が、自国アメリカではなく、日本でできていることに尊敬の念を抱きました。私も世界にどんどんと飛び出していこうと思いました。(栗原 華織)
◇いい刺激を得た取材でした。同じ外国人として、自分も、もっと地元を、日本を知りたいと思いました。この経験を胸に、自分らしく、国際的に生きていきたいと思います。 (チン シイ)