武士道に魅せられ日本語に没頭

日本語国際センターで研修中の
イルチェバ・プラメナさん(ブルガリア)

(取材班:伊波花琳、リュウブンヘイ)

 日本の3分の1ほどの大きさで人口700万人超の東欧ブルガリア。首都ソフィアから車で4時間以上離れたディミトログラドという小さな町で生まれたのがプラメナさん、愛称パミさんだ。

瞬間瞬間を大事に生きる大切さを説くバミさん

 パミさんは、日本語国際センターの海外日本語教師長期研修に参加するまで母国の高校で3年間教師を勤めていた。もっと日本語に磨きをかけ自信を持って生徒たちの前に立ちたいと一念発起し、昨年からセンターで学んでいる。はるばる海を渡って日本語の教え方を修得し母国に伝えようと決意させたきっかけは何だったのか。
 「16歳の時初めて日本の武士の映画を見ました。名前は忘れましたが、そのとき見た侍たちが素敵で、武士道の考えがすごく面白くて」。映画から伝わってくるメッセージは、結果はそんなに大事ではなく一生懸命、瞬間瞬間を大事にして頑張ることの大切さだった。「その時、私も自分が出来ることは死ぬまで頑張ってやってみよう!と決心したのです。心に響いた日本の文化についてもっと知りたいと」―。
 もっとも、日本語の難しさは、よく知られている。難しいからこそ挑戦する意気込みに燃えたパミさんにも、最初の壁を乗り越える苦労はあった。「日本語を学び始めた日から本当に難しいと感じたのですが、自分で選んだ道だから、頑張るしかないと心に決めました。それで自分も成長できたのです。きっかけは誰にでも突然現れ、それがその人の人生を変えてくれることがあるのです」


ご登場いただいた方々


ジェーンさん

ブレインさん

徳間さん

アンナさん

イルチェバさん

編集後記


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「グローカル」って何だろう

埼玉という地で暮らす人々(ローカル)と、そこに根を下ろし生活する外国人(グローバル)との出会いからどのような物語が生まれるのか。

本学の日本人学生と留学生が埼玉で暮らす外国の方々に会ってインタビューを試みた。多くの話から新たな知識や勇気をいただき、貴重なメッセージを受け取ることができた。これは「グローカル」の真の意味を理解しようと挑んだ十文字学園女子大学生の記録である。

(2016年後期総合科目「にいざ十文字発世界へ!」)

国の違いを忘れるほど打ち解けた1時間

 日本映画の感動の延長線上には、ブルガリアと日本の文化の相違でなく、むしろ「類似点」の観察と尽きぬ謎解きの興味があった。「日本語で『きつねの嫁入り』ということわざがありますね。ブルガリアにも同じ諺があります。それは『雨が降っているときでも、日も出ているし虹も出る』という場面を表しています。日本とブルガリアとの距離は8、9千キロメートルも離れているのに、どうしてこんな共通点があるのでしょうか?」
 この指摘には驚嘆した。語学を学ぶ際に「異文化を理解し合う」必要性が強調されるが、各国の文化の違いを際立たせる以上に、パミさんのように「ことわざや伝統など歴史を尊重して文化の共通点を探す」姿勢の方がもっと大事なのでないかと感じたのだ。
 2回来日し、日本各地を旅することも多いパミさんの好きな場所は、地方だ。「実は九州とか四国の田舎のほうが結構好きです」。それは、スピード感にあふれ、すべてが機能的で結果を求めすぎる大都会の中の日本語でなく、一つ一つの言葉の中に暮らしの味わい深さをかみしめて生きる地方の日本語にパミさんが魅了されているということなのだろうか。
 ひょっとしたら、取材した私たち2人の心の奥にも、同じように地方への憧れが潜んでいるのかもしれない―グローバルでなく「グローカル」の意味の重さを教えられたインタビューとなった。


 国際交流基金日本語国際センター(さいたま市北浦和)は、国際文化 交流事業を実施する独立行政法人国際交流基金の附属機関として、海外 の日本語教育を促進するため、1989年の設立以来、海外日本語教師の研 修や日本語教材の開発を行っています。これまでに世界各地の、のべ1 万人以上の日本語教師が研修を受けました。


母国の地図を指してエールを交換



取材を終えて
◇今回初めてインタビューに挑戦しました。とても苦労しましたが私には良い経験になりました。人前で話すのが苦手な私にとっては、言葉を誤ったりしないか、最後まで取材を進行できるかなど、不安と緊張で頭がいっぱいでした。しかしパミさんに取材をしてみると、とても話しやすい方で、緊張も薄れていき楽しく取材することができました。(伊波 花琳)

◇今回の取材は疲れましたが,本当に嬉しかった。取材前に,私たちはいろいろな資料を準備して,先生やグループの人と一緒に課題が完成させました,とても楽しかったです。私はこのような授業が大好きです,教室で授業を受けるだけではなく,学校以外でも勉強できます。これからもっとこのスタイルの多くの授業に参加したいと思います。(リュウ ブンヘイ)