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学長室から

横須賀学長

横須賀 薫 学長からのメッセージをお届けします。


2017.3.18 平成28年度学位記・修了証書授与式 学長挨拶

大学院人間生活学研究科、大学人間生活学部、そして留学生別科のみなさん、卒業あるいは修了、それぞれおめでとうございます。
また、みなさんの今日までの学業の継続を支えてくださった保護者の方々、ご家族のみなさまに対しても心からお祝いを申し上げます。この間本学に対してご支援、ご協力いただいたことに教職員を代表してあつく御礼を申し上げます。ありがとうございました。

卒業、修了する学生及び院生のみなさんは、そのほとんどがこの3月を期して本学を離れ、社会に出ていきます。世の中に巣立っていくのです。言い換えれば、これからの長い人生の第一歩を踏み出すのです。その出発点になる大学の卒業にあたって、どのような餞(はなむけ)の言葉を送ったらよいか、私は迷い、悩んでいます。
学生のみなさんの卒業の機会に、学長としてご挨拶するのは今日で6回目です。いつも何を語り、何を訴えるのか、迷い、悩みます。それはいつでもそうなのですが、今回はそれにさらにある思いが加わって迷いや悩みが深刻になっているのです。それはみなさんの生活や進路が、これからの時代や世の中の動きに大きく左右されるようになる、という思いが強くあり、さらにその動向が今までになく大きな変動をはらんでいるように思えてならないからです。もっと言ってしまえば時代の動きがよくない方向に向かいそうな予感がしてならないのです。そう思えば思うほど、普通に夢や希望を語り、皆さんの前途を祝福するということで終わりにする気になれないのです。

私はこれまで80年の自分の人生を振り返って、人は社会やその時代の動向からさまざまに影響され、その制約を受けるものだということを強く感じています。しかもそれはよいとか悪いとかいうことを超えて、人の生き死にまで関わるのだと思っています。
その典型は自然災害に遭遇することです。東日本大震災はつい最近のことで、ここにいるすべての人がそれぞれに体験しました。未曾有の災害とか千年単位の規模などと言われていますが、私は小さい子どものときから地震が怖くて、大嫌いでした。小さな揺れにも怖がって笑われていたのですが、まさかこんな大地震に自分が遭遇するとは思いもしませんでした。しかも震源地にわりと近い仙台市にいてのことでしたから恐怖は大変なものでしたが、幸い家の建っている地盤が強固だったおかげと立地が海から遠かったので被害は比較的軽微で済みました。
地震に限らない大規模な自然災害は、またいつ襲ってくるか誰にもわかっていません。私たちはそのことを肝に銘じて生きて行くしかないのだと思います。
社会の動きと言うのは、自然災害とは違って人間が引き起こしているものですが、やはり個人を超えて起こり、生き死にを含めて個人の運命を左右します。今中東の地で起きているさまざまな悲惨な事態を見聞きするとき、私は自分自身の過去の体験に思いが及びます。

日本の敗戦の年、1945年に私は今の小学校三年生でした。横浜に住んでいたので、空襲が激しくなり、学童集団疎開に行くことになりました。しかし、せっかく参加した疎開先で病気になり、横浜の家に帰されてしまいます。その直後に横浜は大空襲を受けて、中心街は焼け野原になります。その日私が入院することになっていた病院も焼けてしまいます。もし入院していたらその後の私は無かったのだといつも思います。同じことが中東の地で、それどころか世界の各地で起きているのです。
私の場合、これが自分の人生観形成の原点になっているのですが、そのときからずっと持ち続けている一種の無力感は、そのとき私が子どもだったからというのではなく、空から降ってくる爆弾や焼夷弾は、地震や風水害と同様に、どうすることもできないものだからです。
人生には運、不運があり、どうしようもない災難というものがあることをずっと意識して来ました。
そんなふうに考えると、人は運命論に陥るか、あきらめの境地を求めるかになってしまいます。私もそんな境地に惹かれたりしたこともしばしばありましたが、それ以上に少しでも世の中をよくできないか、時代が破滅的方向に向かわないようにどうしたらよいか考えたり、行動したりしてきたつもりです。しかし、一人の庶民の力には限界があります。そんなことをしても、やっぱり駄目かと思うこともしょっちゅうです。
そんな私がみなさんにどんな教訓を送れるか、それを思うと悩み、迷うのです。しかし、ただ夢や希望を語るのは無責任に思えてならないのです。
でもやっぱり、生きていかなければなりません。庶民の一人としてしっかり生きていかなければならないのです。その意味で、生き方のキーワードとして「足掻く」という言葉をみなさんに示しておきたいと思います。
宮部みゆきという作家は『希望荘』という小説の中で、こう言います。
「世界で何が起きていようと、人は自分の人生を生きるしかない。自分の夢をみるしかない。できるだけよい夢をみようと、懸命に足掻きながら。」
ここで使われている「足掻く」という言葉の辞書的意味は、もともとは自由になろうとしてやたらに手足を動かすこと、もがくことですが、そこから悪い状態から抜け出そうとして、あれこれ努力する、あくせくする、という意味に使われます。決して快い状態を表す言葉ではありません。
思えば私の人生も「足掻き続けて」今日まで来てしまったのだと思います。
世の中の動きに無関心、能天気に過ごすこともできない、しかし、持っている力はほんの少し、小さいものだと思わされる日々において、それでもわずかでも世の中をよくしよう、自分の進路も切り開こうと努力することは、いわば水中に落ちて必死に手足をばたつかせて息ができる空間へ浮かび上がろうとするのと同じなのでしょう。
もうひとりの作家、原田マハは『さいはての彼女』という物語の中で、主人公にこう言わせています。
「人生の成功者と言われなくても、目の前の五十メートルを全力で駆け抜けるのだって、十分気持ちいいじゃないか。そんなふうに思えるようになった。まだまだ遠くにあった四十歳も、気がつけば目前に迫る。それはそれとして、とりあえずもう少し。人生を、もっと足掻こう。」

これからの長い人生の出発点に立ったみなさんに、決してかっこいい姿や姿勢を意味するのではない、「足掻く」「足掻こう」という言葉を贈って私の餞とします。お元気で。

2016.10.19  50回目の大学祭 ぜひおいで下さい

 今年の大学祭(桐華祭)は、テーマ「50回だよ!全員集合」にあるように50回目を迎えました。
 10月22日(土)、23日(日)の両日、新座市の大学キャンパスで開催します。
 本学が短期大学として開校したのが1966(昭和41)年、今年が創立50周年です。大学祭も50回ですから、これで大学祭が毎年欠かさず開催されてきたことがわかります。
 50年前はこの地もまだ新座町野火止菅沢と呼ばれ、武蔵野線も開通していませんでした。『十文字学園五十年史』には、開校当時のキャンパスを上空から撮影した写真が掲載されていますが、それを見ると広大な校地にわずかな校舎が建てられ、そこに近接して赤土むき出しの工事中とみられる土地があります。場所としてはそれが現在の武蔵野線が走る線路にあたるわけです。
 町が市に昇格したのは昭和45年、新座駅ができたのはさらに後の昭和48年でした。創立当時の先生、職員、学生たちはいろんな不便を忍んで勉学に励んだことだろうと思います。
 「全員集合!」だそうです。できれば50年前の十文字短大生にも駆けつけてもらいたいものです。

 講演企画には佐々木則夫副学長の対談トーク&コンサート「のりさんとカノンのおしゃべりハーモニー」が23日の10時45分から12時まであります。カノンさんはクラシックとポップスを融合させた「クラシカル・クロスオーバー」アーティストとして注目されている女性歌手です。
 もう一つ、初日の22日の13:30から15:00まで開催されるのが、「小泉八雲と地域づくり・人づくり」です。講師の一人小泉凡氏は八雲の曾孫で、島根県にある記念館の館長を務めておられる方です。
 トークショウ企画の方への出演は、今人気絶頂の佐藤健さんが22日の16:00から、平田広明さんが23日13:30からです。ただ残念ながら、こちらの方は事前予約で、すでに満席と聞いています。
 その他、学生が日頃の活動や学習の成果を展示したり、パフォーマンス発表したりします。また大学祭に付き物の飲食店も22団体が出展します。
 天候が心配ですが、今のところの予報では降雨にはならないようです。みなさん、ぜひおいで下さい。

2016.4.5 平成28年度入学式 式辞

 新入生のみなさん、入学おめでとうございます。また、ご列席の保護者やご家族のみなさんにも教職員を代表してお祝い申し上げます。今後さまざまなご指導、ご支援をお願いすることになることと思います。どうぞよろしくお願いします。さらにみなさんの入学をお祝いしてたくさんの方々がご来賓としておいで下さっています。後ほど励ましのお言葉を頂戴する予定です。そして本学の教職員がこの式の準備に当り、今ここに参列しています。在学の先輩たちもそれぞれの役目を担って加わってくれています。

 ところでこの場に参列しているみなさんは、同じように新入生と呼ばれても所属はそれぞれ違っています。一番数が多いのが学部学生と呼ばれる人間生活学部に所属する人たちで、1年次入学生が814名、3年次編入生が18名です。本学にはながく短期大学がありましたが、昨年度をもって募集停止としていて、今年度の入学生はおりません。
 大学院は人間生活学研究科で、その中に食物栄養学専攻があります。今回修士課程に3名、博士課程に3名が入られました。修士課程の院生は全員がベトナムからの留学生です。
 留学生を専門に教育する組織として留学生別科があります。今回の新入生は、中国から24名、ベトナムから7名になります。この人たちは1年か2年、日本語を中心に学び、その後に本学を含めて日本の大学への進学を予定しています。また同じように留学生になりますが、自国の大学に在籍のまま1年間本学で学び帰国して元の大学に復帰するという科目等履修生の制度があり、今年度は北京語言大学の2名、四川外国語大学の2名です。
 わざわざこんな細かいことを申しましたのは、同じ大学、同じ新入生といってもさまざまな立場があるということを知っておいてほしいと思うからです。多様な学生たちで構成されているところが高等学校とは違うところなのです。これからの大学生活で、学部学生は学部学生だけで、それも同じ学科の学生同士で固まってしまうのではなく、学科を超えて交流すると同時に外国からの留学生とも積極的に交際し、仲良くなってほしいと願っています。
 特に留学生のみなさんに言っておきたいことは日本人学生と積極的に交流してほしいということです。留学生の側からすれば言葉の壁がありますから、つい同国人同士の交際を優先させてしまうきらいがあります。しかし日本人の学生と交際し、交流することが、実は日本語能力を向上させる早道なのだということをぜひ肝に銘じておいて下さい。

 さて、ここからは一番数の多い人間生活学部のみなさんに向かってお話ししますが、他の人たちもしっかり聞いておいて下さい。

 本学にはリメディアル教育センターがあります。聞きなれない名前かと思いますが、皆さんの多くがすでに入学前講習でこのセンターにお世話になっているのです。
 リメディアル教育センターは小学校、中学校までの学習で十分に身に付けることが出来なかった知識や技能を、もう一度しっかり勉強し直すことを目的にしています。この仕事を私たちは学力回復とか学力保障教育と呼んでもいます。
 最近のことですが、このリメディアル教育センターを担当してくれている教員から、その教室の黒板に学生が書き残していった言葉、いわば落書きですが、それを教えてもらいました。それは「出来ないなんて誰が決めた」というもので、ひょうきんな動物の絵とともに描かれていたというのです。
 私はそれを聞いて胸をつかれる思いがしました。私は教育学が専門で、これまで学校の教育について研究してきたつもりですが、その常識からすれば学校というものは児童や生徒に勉強を教え、何かが「できる」ようにする場所だと受け止めてきました。しかし、この言葉に接して、学校というものは人を「できる」ようにしてくれる反面、人を「できる」/「できない」で判定し、人を「できない」と決めつける場所でもあるということをあらためて認識しました。
 そして大事なことは、この落書きを残した学生が言いたいのは、自分は勉強が「できない」人間だと決めつけられてきたが、リメディアル教育センターで勉強し直してみればできなくなんかない、ちゃんと「できる」のだとわかったということです。そういう訴えなのだと思います。
 実際このセンターでの学習、基礎的な学習の復習を通して自信を回復し、専門の勉強に進み、資格の取得や就職で成果を上げた学生がこれまでにたくさんいます。
 今からでも遅くないどころか、むしろこれからが勉強の本番だと思って取り組みさえすれば、必ず「できるコース」を走り始めるようになります。センターにはそのことを信じている親切な指導員が常駐し、みなさんが訪れるのを待っています。
 昨年の秋に開催した保護者会で私は学長として少しまとまったお話をする機会がありましたが、その講話に「ここに入れておいてよかったと思ってもらえる大学を目指して」という題をつけました。
 18歳人口が減少しましたが、実際には大学の入学試験競争は無くなるどころかかえって激しくなっています。それは大学間の格差が拡大し、一部の有名大学への競争が激烈になっているからです。これはある意味で仕組まれた競争なのですが、教育界はその状況から抜けられなくなってしまっています。しかし、この大学に入ってくる学生はこの大学での勉強や活動でぐんと伸びる学生たちです。私たちはそれを実際に経験し、結果について自信をもっています。
 卒業する時、あるいは社会に出てから「あゝ、十文字に入れておいてよかった」と学生にも保護者にも思ってもらえる、そんな大学を実現しようと教職員一同努力しているところです。
 入学に当たって学生と保護者のみなさんにぜひこの大学の方向性と方針を理解しておいていただきたいと思ってお話ししました。(2016,4,5)

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