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教育人文学部

卒業研究は心理学科の財産です


心理学科は卒業研究が必修です。
そのテーマは学生さんが自分で選びます。

卒業研究では日常生活のギモンに、
心理学の知識と手法を活用して、アプローチします。
「心理学を活かした探究学習」と言えるかもしれません。

卒業研究は、卒業する学生さんが心理学科に残してくれる
素敵な発見であり、財産です。
その一部をおすそ分けします。

財産その17:なぜ“悪役”に惹かれるのか~悪役のタイプと共感する心の関係を探る~

SSさん(2026年3月卒 笹倉ゼミ)
卒業研究の原題:悪役を好む態度と共感性の関連の検討
1  “悪役”は好きですか?

漫画やアニメ、ゲームや特撮などのストーリーには“悪役(ヴィラン)”キャラクターがつきものです。かつては「邪魔者」「嫌われ者」といったイメージの強かった“悪役”ですが、最近では魅力的な“悪役”が多数存在しています。社会現象にもなった漫画『鬼滅の刃』をはじめ、『呪術廻戦』や『僕のヒーローアカデミア』などの魅力的な悪役たち、彼らが抱える悲しい過去や心の葛藤に「思わず共感してしまった」という人も多いのではないでしょうか。

Sさん自身は悪役を好きになった経験がなかったことから、「何故悪役を好きになるのか?」が気になり、卒業研究のテーマとして選びました。“共感性”に着目したのは、Sさん自身がSNSで見かけた「悪役の名言集」動画に共感できる言葉を見つけたことがきっかけでした。
2  調査方法

Sさんは女子大学生126名を対象に以下の内容を尋ねるアンケート調査を実施しました。
①悪役の好みについて(16項目)
先行研究(ハンら, 2024)を参考にさまざまなタイプの悪役を例として示し、それぞれの好感度を尋ねました。
②共感性について(24項目)
子ども用認知・共感性尺度(村上・西村, 2014)を大学生用に調整し、共感性を測定しました。
3  結果と考察

①人気なのは「悲劇的・葛藤型」の悪役!
調査協力者の半数近く(61名/48.4%)が「好きな悪役がいる(または過去にいた)」と回答しました。さらには自分の欲望のために動く「自己中心的悪役」よりも、悲しい過去や心の葛藤を抱えた「悲劇的・葛藤型悪役」の方が圧倒的に好まれていることが分かりました。

②共感性が高い人ほど「悲劇的な悪役」が好き!
相関分析の結果、「悲劇的・葛藤型悪役」への好感度は、共感性との比例関係がみられました。特に、嬉しそうな人がいると自分も嬉しくなるといった「他者のポジティブな感情の共有」や(図1)、そばに悲しむ人がいると自分も悲しくなるといった「他者のネガティブな感情の共有」と、「悲劇的・葛藤型悪役」への好感度が関連していることが分かりました(図2)。

図1

図2

すなわち、相手の立場になって物事を考えられる人や、相手が喜んでいる・悲しんでいるといった感情を自分のことのように感じ取れる人ほど、「悲劇的・葛藤型悪役」を好きになる傾向があることが明らかになりました。
一方で、「自己中心的悪役」は共感性のどの下位尺度とも関連がみられませんでした。他者の気持ちを理解し、共感を示すような人は、身勝手な悪役とは感覚の乖離が大きいため、共感しにくいのかもしれません。

SSさんへインタビュー

卒業研究で大変だったことは?
様々なタイプの悪役を提示するために、多種多様な悪役を考えなければならなかったことが大変でした。参考とする資料はありましたが、全ての人に分かりやすい且つ、出来る限り短い説明文で作らなければならないので苦戦しました。

卒業研究で面白かったことは?
自由記述式で回答してもらった好きな悪役を見ることが楽しかったです。中には、私としては悪役だと捉えていなかったキャラクターを挙げている人もおり、「悪役」と明言されていなくとも、見る人の考え方や視点で悪役となり得るというところが、多くの回答を得たからこそ感じ取ることができて面白かったです!

卒業研究の思い出
ゼミのみんなで苦戦しながら教え合ったり、大変さを共感し合ったりしたことがいい思い出になりました。もちろん難しくて、行き詰まるとやる気がなくなってしまうこともあったけれど、人と話すことで心が軽くなった気がするし、明るくて優しい人ばかりだったので、とても楽しい時間だったなと思います。

過去の「卒業研究は心理学科の財産です」はこちら

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