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大学案内・情報の公開

学長室からのメッセージ




安達 一寿 学長からのメッセージをお届けします。

令和7年度 入学式式辞

令和7年4月5日
十文字学園女子大学 学長 安達 一寿

 満開の桜、すがすがしい晴天のもと、今日というよき日を迎えることができました。
 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
 本日、十文字学園女子大学の一員となられた学生の皆さんを心から歓迎いたします。また、これまで支えてこられたご家族の皆様にも、心よりお祝い申し上げます。お子様の成長を見守り、支えてこられたご家族の皆様のご尽力に、心より敬意を表します。本学では、学生一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、社会で活躍できる人材の育成に努めてまいります。ご家庭におかれましても、これからの大学生活において、温かい励ましやサポートをお願い申し上げます。
 では、私から学生の皆さんにお伝えしたいことをお話しします。
 学生の皆さんがこれから歩む大学生活は、高校までの学びとは大きく異なり、より主体的に自らの未来を切り拓く時間となります。
 本学の建学の精神である「身を鍛え 心鍛えて 世の中に 立ちてかいある人と生きなむ」は、単なる知識の修得にとどまらず、心身を鍛え、豊かな人間性を養い、社会に貢献できる人材を育成することを意味しています。「身を鍛え」は健康な身体と実践力を、「心鍛えて」は知性と感性を育み、「世の中に 立ちてかいある人と生きなむ」は社会で役立ち、他者とともに生きる力を大切にすることを示しています。
 この建学の精神のもとで、学生の皆さんには、知識を深め、考え、行動し、社会の中で自らの役割を見出していくことが求められます。そして、学生の皆さんは、本日から自分自身が「立ちてかいある人」として成長しようとする決意を持ってください。私たち教職員はその成長を支え、皆さんが社会で輝く存在となることを心から願っています。

 本学では、この建学の精神を具体的な教育目標として反映させるために、ディプロマポリシー(学位授与方針)を定めています。このディプロマポリシー(学位授与方針)とは、学生の皆さんに、卒業する時までに身につけておいてほしい力のことです。
 本学のディプロマポリシー(学位授与方針)は、次の3つの力を育成の柱としています。
 ・先人が築いてきた英知を継続的に自分のものとしていくことで、しなやかな感性とゆるぎない自己の礎を育み、
  生涯にわたって自己実現を成し遂げる力

 ・他者を尊重し互いを認め合いながら、多様な人々と連携・協働して互恵的な関係を結ぶ力
 ・社会における諸課題を捉え、専門的な知識・技能を活用しながら、持続可能な社会の実現に貢献する力

皆さんが本学での学びを通じて、これらの力を身につけ、社会で活躍できる人材へと成長することを期待しています。

 さて、ここ最近の社会状況や将来の社会を考えてみると、AIやデジタルなどの新しい技術の進歩・発展により、社会が急速に変化することが考えられます。また、人生100年時代と言われ、生涯にわたって学び続け、社会の変化に対応していくことが求められていると考えます。さらに、先行きの予測が難しい時代において、柔軟な思考と適応力が不可欠となっています。
 そうした時代だからこそ、本学では実践的な学びを通じて、新しい時代に対応できる力を育成していきます。本学では生涯にわたり活躍し続ける力を育むために、充実した教育の機会を提供し、社会で求められるスキルや心がまえを育成するための仕組みづくりを行っていきます。
 それにより、学生の皆さんには、確かな情報やデータを基に、主体的かつ論理的に物事を考え、様々な解決策を見出し、その中から答えを判断・選択できる能力を身に付けてほしいと考えています。皆さんが学問を探究し、多様な人々と出会い、視野を広げることで、未来の可能性を大きく広げることができるでしょう。

 本学では、これまで述べたことを通して、学生の皆さんが生涯にわたって社会で活躍できる「プラスワンの個性」を持つ人材として成長できるよう、全力で応援し支援します。

令和6年度 学位記授与式式辞

令和7年3月19日
十文字学園女子大学 前学長 志村 二三夫

 皆さん、晴れてのご卒業・修了を心よりお祝いいたします。誠におめでとうございます。
 ご家族・保証人の皆様におかれてもお慶びはひとしおと存じます。お祝いと合わせ、これまでの本学へのお力添え・ご協力に深く感謝いたします。
 只今、代表の方にお渡しした学位記・修了証書は、学科の集いなどで受け取ることと思います。本学での学びの成果、ご自分の伸び代を伸ばした成長の証です。
 生憎の荒天。キャンパスのソメイヨシノは、つぼみを閉ざしていますが、グラウンド奥「桜の丘」の寒緋桜は皆さんの門出を祝ってくれています。
 振り返ると、皆さんの入学時2021年4月はコロナ禍真っただ中、入学式はリモート開催。7月の東京オリンピックも無観客開催でした。授業は感染防止と学修の質確保を念頭に進め、対面授業と遠隔授業の混在などご苦労をおかけしましたが、皆さんのご協力で幾多の困難をともに乗り越えることができました。あらためて感謝いたします。そして皆さんそれぞれが、苦難を乗り越え、経験値を高めて下さったことと評価いたします。

 さて、世界に目を転じると、MAGA(マーガ)。“Make America Great Again.” ご存知のように、トランプ大統領の「アメリカを再びグレイトに」というスローガンのもと、様々な施策が打ち出され、国際情勢が大きく混乱しているように見受けられます。
 グレイト。もともとは素晴らしいことばです。社会人として歩み始める皆さんに、”Make Yourself Great” 「あなた自身をグレイトに」。これを贐(はなむけ)の詞としてお贈りします。
 そのグレイトに関し、私は高校生の時、英語の副読本で、19世紀アメリカの小説家、ホーソンの短編“The Great Stone Face(グレイトな石の顔)”を読まされました。
 物語の舞台は、人間の顔に見える大きな岩があるニューイングランドの山の中。この顔に似た人物が現れ、人々にとって偉大・グレイトな人物になるという伝説がある村の「真面目」・「誠実」という意味合いの名前の少年、アーネストが主人公。幼い頃からこの伝説を信じ、その顔に似た人物の出現を待ち続けます。村の人々は「石の顔」に似ている人物を次々見つけますが、いずれも真のグレイトではありませんでした。最終的に、アーネスト自身がその顔に似ていることがわかり、彼の謙虚さと善良さが真にグレイトであることが示されるというお話です。
 ホーソンの時代、グレイト・偉大さはしばしば道徳的な美徳や誠実さと結びついていました。“The Great Stone Face”は、この時代の価値観を反映し、真の偉大さは、物質的な成功や名声よりも、道徳的な高潔さ、内面性、他者への思いやり、共存・共栄等が重視されています。
 MAGA(マーガ)のグレイトはこれと異なり、アメリカ第一主義のもと、経済的、軍事的な強さを背景にするもので、外交や国内政策など様々な面で分断を招いているようです。
 ‟Make Yourself Great.“のグレイトは、もちろん真の意味の偉大さ、アーネストの方のグレイトです。

 ここで、グレイトのことは暫らくおいて、かつて皆さんに回答して頂いたアンケートについてお話します。実は半数以上の方が「本学の建学の精神をよく知らない」という答えでした。「建学の精神」は、学校のアイデンティティを示し、学校の創立者が人材育成の理念や気概、願いをうたいあげたものです。皆さんは、ご自分のアイデンティティ、「自分らしさ」や「自分は誰であるか」を大切にしていますね。だからこそ、本学は「あなたらしさをともに育む」をブランドコピーとして、その実践・実現をめざし、皆さんに寄り添う教学に務めています。
 「建学の精神」すなわち本学のアイデンティティをよく知らずに卒業したら、勿体ない、畏れ多い。この機会に本学の建学の精神についてあらためて理解を深め、皆で共有し、「生涯にわたる人生の応援歌」として下さい。
 大学には、管理・運営に関する最も基本的な規則として、学則があります。本学の学則は、冒頭で、「建学の精神に基づく人材育成を目的とする」と宣言しています。そして、「身をきたへ 心きたへて 世の中に 立ちてかひある 人と生きなむ」を建学の精神として明示しています。
 なーんだ、建学の精神といわれるとわかりにくいけど、学園歌ならよく知っている、という思いの方が多いのではと信じています。学園歌はずばり、本学の建学の精神、アイデンティティを謳ったものです。それとともに、古今東西、老若男女に共通する人の生き方を示しており、生涯にわたる人生の応援歌となるものです。
 そして、学則に、学園歌や校歌と一体化した建学の精神を明示している大学は極めてまれです。70校ほどある私立女子大学では、本学だけです。本学は、このような特色ある大学として、「あなたらしさをともに育む」ことにこれからも取り組んでいきます。

 さて、建学の精神・学園歌についてさらに3つのことに触れます。

 1つ目は、身をきたへ、心きたへ。
 これは、現代風にいえば、体と心を健やかに、つまり健康の維持・増進です。大切なのは、健康はそれ自体が生きる目的ではなく、毎日の生活を支える資源です。世の中に立つ、つまり社会人として生活するための資源として、これからも体と心の健康の維持増進に努めてください。

 2つ目は、かひある人、のかひについて。
 皆さんよくご存知のように、かひ(甲斐)という言葉は、生き甲斐(いきがい)の甲斐として使われます。この場合は、ある行為に値するだけの価値や効果を表します。
 一方、かひ(甲斐)には、ものや動作が交差すること、重なること、という意味があります。人と人との交流、心の交わし合いも甲斐です。
ですから、世の中に立ちてかひある人は、社会に出て、心を交わし合い、支え合える仲間や友達がいて、生き甲斐、自己効力感をもつ人ということででしょう。
 そのような人が、真の意味でグレイトです。

 3つ目は、人と生きなむの、なむ、について。
 二通りに解釈できます。片方は、歌い手が学生の皆さんだとして、自らが、何かを実践・実現しようとする強い意志、すなわち「私は、立ちて甲斐ある人として生きてゆきます」を表します。もう片方は、歌い手が教職員だとして、相手に対して自分の思う通りのことを実践・実現して欲しいという願い、これを誂えといいますが、「立ちて甲斐ある人として生きて下さい」を表します。
 本学の学園歌は、「なむ」の魔法により、一つの短歌で、学生と教職員、学生同士、教職員同志の思いが響き合う一首完結の相聞歌といえます。私はこの、「なむ」の魔法を前の理事長の十文字一夫先生から学びました。
 本学は学生の皆さんに寄り添う教育を大切にしていますが、学園歌に込められた一首からなる相聞歌の精神が寄り添う心に通じます。本学の学びの中で、教職員からの寄り添いを感じて下さったのではないでしょうか。皆さんが社会人として成長して行かれる過程で、他者に寄り添う心をさらに磨いて下さるようお祈りします。
 そして、学園歌は皆さんの成長を見守り支えて下さったご家族と皆さんの間の相聞歌でもあります。

 最後になりますが、暫らく置いてきたグレイトの話に戻ります。MAGAのグレイトではなく、The Great Stone Faceのアーネストを真の意味のグレイトとするなら、学園歌の世の中に立ちてかひある人がまさにそれにあたります。
 そして、「なむ」の魔法を考慮すると、学園歌では、“Make Yourself Great”  「あなた自身をグレイトに」という教職員の誂えに対し、“Make Myself Great”  「私自身をグレイトに」という、学生の皆さんの強い意志の応えが交響しています。
 皆さんはこれから、社会人として自らを鍛え続け、成長する過程で、自己効力感を感じ、生き甲斐をみつけ、グレイトな人に近づいていって下さると期待しています。

 そして、本当の最後です。私からの誂え“Make Yourself Great.”に対して、皆さん一緒に大きな声で“Make Myself Great.”唱和してお応えください。

(式典では、学長からの“Make Yourself Great.”に対して、卒業生は“Make Myself Great.”と大きく唱和しました。)

 どうもありがとうございます。
 これをもって、私の式辞といたします。


*志村学長追記:私からの誂え”Make Yourself Great.”に対して、皆さんが元気よく”Make Myself Great.”としっかり唱和して下さいました。とてもありがたく嬉しかったです。
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