グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


大学案内・情報の公開

ホーム >  大学案内・情報の公開 >  学長室から

学長室から




志村 二三夫 学長からのメッセージをお届けします。

令和4年度 入学式式辞

十文字学園女子大学
学長 志村 二三夫

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。ご家族、関係者の皆様におかれましても、お慶びはひとしおと思います。心よりお祝い申し上げますとともに、これからの本学へのお力添え・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
 コロナ対策のため、式典は午前午後の二部制となりました。しかし、雨にも負けず、風にも負けず、のさくらとともに、新入生の皆さんを3年ぶりの対面でお迎えでき、教職員一同とても嬉しく思います。
 さて、今年は本学の母体の短期大学開設から56年。そして何より、学校法人十文字学園創立100周年の記念の年。そこで、ご入学に当たり3つの願いについてお話しします。
 皆さんはそれぞれの夢や願いの実現をめざし、本学に入学されました。世界の国々も、持続可能な開発目標SDGsという願いを掲げ、共に歩もうとしていることをご存知だと思います。本学もSDGsを重要としています。
 一方、新型コロナウイルス感染の拡大は、その3番目の願い「すべての人に健康と福祉を」を揺るがし、経済活動に大きなインパクトを与え、収束の気配を見せません。
 厚生労働省によると、最近の感染者の約半数は、皆さんのような10代・20代の若者です。この世代は、3回目ワクチンの接種率がほかの世代より低く、専門家は、「活動範囲が広く感染しやすいので、入学や就職などに伴う新生活で感染リスクを点検し、ワクチン接種も進めてほしい」と述べています。
 皆さんの本学での学びは、コロナ禍の中で始まります。本学は、感染拡大防止と学びの質確保のために、独自のガイドラインを定め、感染状況に応じた行動制限レベルを設け、授業や課外活動等に取り組んできました。ウイルスを侮らず、怖がり過ぎず、正しく怖がり、感染しない・させない行動を、本学は求めてきました。学生・教職員がこのような行動を守ったおかげでしょう、これまで学内での感染発生はありませんでした。
 新入生の皆さんも、みんなの健康・いのち・学び、社会を守る行動をよろしくお願いします。地道な行動変容が「すべての人に健康と福祉を」という願いへの歩みを進めます。
 もう一つの願いはSDGsの16番目、「平和と公正をすべての人に」です。しかし、ロシア政府によるウクライナへの軍事侵攻が、無残にも、打ち砕きました。ウクライナ国民の生命と国家の主権の侵害ばかりでなく、国際社会の平和と安全への挑戦です。報道によれば、戦争犯罪のような行為もあるそうです。本学は、このような行為への沈黙は、ロシア政府の軍事侵攻への暗黙の了解に他ならないと考え、抗議の意を表明し、ロシア軍侵攻の速やかな停止と対話・交渉による平和的解決を求めるメッセージを本学ホームページ上に公開しました。ご理解・共感して下さると幸いです。小さな声が大きく広がる、これが「平和と公正をすべての人に」の願いの実現に大切です。
 世界共通の願いが脅かされていますが、皆さんは十文字学園創立100周年、記念の年に本学に入学し、未来に向かって成長し、それぞれの願いを実現し、人生100年時代を生き抜こうとしています。
 学園歌は、そのような皆さんへの力強い応援歌、道しるべです。
 「身を鍛え 心鍛えて 世の中に たちてかひある 人と生きなむ」。
 学園歌は、本学の建学の精神の結晶です。100年歌い継がれ、なお色褪せず、人間の生きるべき普遍的な道を示しています。
 そこで、3つ目の願いとして、学園歌に込められた願い、それを読み解く秘密について、3つに絞り、お伝えします。
 1つ目の秘密。学園歌は一首からなる相聞歌です。ざっと言えば、「体と心を鍛錬し、しっかり学び、自立した社会人として、生き甲斐をもち、みんなとなかよく共に生きてゆきます」という学生の強い願いを表します。歌詞の最後の助詞“なむ”が、本人の強い願いを表します。
 一方、“なむ”は、相手に対する願望を表す誂(あつら)えの助詞としても使われます。こちらは「あなたは、ぜひ・・・と生きて下さい」という意味。ですから、学園歌は一首で、教わり育つ学生と、教え育む教職員の心の交わし合いを謳っています。人と人の心の交わし合いの和歌を相聞歌といいます。学園歌は“なむ”の魔術により、一首からなるスペシャル相聞歌です。自ら鍛え向上しようとする学生と、学生ファーストの気持ちで寄り添う教職員の思いを謳っています。
 学園歌は教職員の強い願いの表明でもあります。「私たち教職員は、体と心を鍛錬し・・生きて行きます」ということ。学生の皆さんの伸び代を生かす教育のために、自らの伸び代を伸ばす、それが十文字の教職員です。
 2つ目は、世の中に立ちてかひある人、について。世の中に立ちては、自立した社会人としてといった意味でしょう。かひある人の“かひ”は一般に生き甲斐のかいとされます。しかし、少し踏み込むと、“かひ”は、人々の行き交い、つまり交流、心の交わし合いを意味する言葉です。皆さんがこれから培う学友や教職員、そのほか、多様な人々との人間関係、心の絆、皆と力をプラスしあって働く協働が、生き甲斐につながります。
 そして、生きがいを生み出す原動力が、3つ目の身をきたへ、心きたへの“きたへ”です。これは鍛錬ということ。鍛え・鍛錬は、辛く、苦しく、厳しく、あまり面白くありません。しかし、きたえは当て字にすると、き=喜び、た=多く、え=恵む、です。
 皆さんが本学での学び=鍛えをとおし、喜びに多く恵まれ、また喜びを多く恵むことができますよう期待して、結びとします。あらためて、本日はご入学おめでとうございます。

令和3年度 学位記授与式式辞

十文字学園女子大学
学長 志村 二三夫


 ご卒業・修了、誠におめでとうございます。
 ご家族・保証人の皆様におかれましても、お慶びはひとしおと存じます。心よりお祝い申し上げますとともに、これまでの本学へのお力添え、ご協力に深く感謝申し上げます。
 まん延防止等重点措置のため、分散またリモートという変則方式ですが、お陰様で皆さんが待ち望まれた学位記授与式を開催できる運びとなりました。
 コロナ禍終息の気配は見えず、先日は強烈な地震、ロシアによるウクライナへの攻撃は、報道等でも侵略戦争と呼ばれる悲惨な状況です。しかし、春の女神、佐保姫に連れられたキャンパスの桜の花もほころび加減の穏やかな陽気、皆様の晴れやかなご様子・お姿が陰りを鎮め、元気・希望を与えてくれます。そのような皆様のご卒業を共にお祝いすることができ、教職員一同、とても嬉しく思います。
 さて今年は、十文字学園創立100年です。この記念の年に卒業生の皆様をお送りするにあたり、100年間の学園の歩みを支え、これからも支え続ける建学の精神、その結晶といえる学園歌のすばらしさを改めてお伝えしたいと思います。
 「身を鍛え 心鍛えて 世の中に 立ちて甲斐ある 人と生きなむ」、皆さんの入学式の際に少しお伝えしたように、学園歌には秘密が隠されています。今日は、三つをお伝えします。一つ目は、締めの助詞「なむ」の魔法のこと。二つ目は、鍛えのこと。三つ目は、世の中に立ちて甲斐ある人のこと。
 一つ目、学園歌は「なむ」の魔法により、一つの歌で学生と教職員、学生同士、教職員同志の相聞歌となっています。「生き甲斐をもち、人々とともに生きてゆきます」という自らの強い意志「ぜひそうして下さい」という他者からの誂え・願い、心のかよい合いを込めています。
 その生きがいを生む原動力が、二つ目の体と心の鍛えです。
 記念ホール北側に十文字こと先生・大元先生の像があります。大元先生は実業家として成功し、またご自分の健康に役立った体操を、古代中国の経典のフレーズ、自彊不息にちなみ、「自彊術体操」と命名し、普及啓発されました。そして、こと先生の長年の尽力に感謝し、こと先生の願いを叶える形でつくられた学校が十文字学園のルーツです。十文字中学校・高等学校では、日々自彊術体操に取り組み、自彊不息の精神はみながよく知っています。
 皆さんはやや違うので、少し説明します。自彊不息の自彊は、自らを奮い立たせ、つよくすること、不息はやめない。したがって、自彊不息は自らつとめてやまず。自分を鍛え続けるということ。
 すぐおわかりと思います。学園歌と同じく、鍛えの大切さを説いています。
 したがって、学園歌は皆が共感できる人としての大切な生き方を古くから示した自彊不息を、わかりやすく表現、そのように私は理解しています。とはいえ、自彊不息は、十文字学園以外にも多くの高校で校訓などとされ、建学の精神と明示している大学もあります。北京パラリンピックのオープニングセレモニーのスピーチでも引き合いに出されていたように思います。
 自彊不息がグローバルスタンダードなら、学園歌はカスタムメイド、自彊不息と学園歌は、大元先生とこと先生の相聞歌。表裏一体で、鍛えを大切にする本学の教学の真髄を示しています。
 その鍛えについては、折に触れ、当て字にすると、喜びに多く恵まれる、喜びを多く恵む、とお伝えしました。鍛えは、辛く、苦しいだけではありません。学友とともに、教職員や先輩、地域の皆様から学び、切磋琢磨し、困難にチャレンジし、乗り越え、成し遂げると嬉しい喜びに多く恵まれます。これから行うことに対して「自分はできそうだ」と思える自己効力感、鍛えがそれを育みます。皆さんが本日手にされる学位記は、皆さんそれぞれの鍛えに対する本学としての証です。社会人としての職務を担う力、鍛え続ける基本ができた証です。
 さて、三つ目。世の中に立ちて甲斐ある人について。
 甲斐ある人とは、生き甲斐のある人といえるでしょう。では、生き甲斐とはなんでしょう。どうやら、生き甲斐の甲斐は、人々の行き交い、つまり交流、心の交わしあいを意味するようです。皆さんが本学で培った学友や教職員との絆、人間関係、皆と力をプラスしあって働く協働が、生き甲斐を生む源です。対面での行き交いが難しいコロナ禍であっても、様々な工夫や勇気をもって、人間関係の構築に取り組んで下さったと思います。
 世の中に立ちて甲斐ある人とは、世の中つまり社会の中で自立した個人として、豊かな人間関係を築き、みんなと力を合わせ協働する中で喜びに多く恵まれ、喜びを多く恵むことができる人だと思います。十文字の十、プラスは、人と人との出会いの場、交差点を象徴しているようです。十文字で築いた人間関係をこれから先もぜひ大切にして下さい。
 皆さんは、17項目からなる持続可能な開発目標(SDGs)をご存じだと思います。その17番目の目標はパートナーシップ、日本語の協働の精神に相通じます。17といえば、「和を以て貴しとなす」で始まる、聖徳太子の17条の憲法が思い浮かびます。
 学園歌が示す世の中に立ちて甲斐ある人は、SDGsや17条の憲法の精神にも適う人のようです。
 学園歌はこれからの人生100年の時代を生き抜く皆様への力強い、また優しい応援歌・エールです。
 学園歌の精神を実践し、みんなと協働する中で弛まずに鍛え続け、喜びに多く恵まれ、喜びを多く恵む、立ちて甲斐ある人生を実現されますよう、心よりお祈りいたします。
 これを以て、卒業・修了のお祝いの言葉といたします。