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教育人文学部

読んではいけない「文学作品」


名作と言われて素直にそれをうけいれてしまって、本当によいのか? もしかしたら、社会に悪影響を及ぼす迷惑な作品かもしれない。そんな“迷作”リストを紹介します。リスト内容は随時追加されますので、時々のぞいてみてください。
2025年月8月6日 更新

新美南吉「ごん狐」

これは、私が小さいときに、村の茂平というおじいさんからきいたお話です。

いたずらものの「ごん狐」(教科書では「ごんぎつね」)が、兵十へのつぐないのために栗や松茸を持ってきていたところを、事情を知らない兵十によって射殺されるという、ショッキングなラストは、トラウマ作品の一つとして、ネットでも語り継がれていますよね。

 ひとの愚かさとか悔恨とか、人生のにがみを子どもに教えようという、挑戦的な傑作だと思いますが、年端もいかない小学生に、きちんとそれが伝わるのでしょうか…

 最近、原作以上にショッキングな事実が報告されています。

 石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』(文春文庫)によると、とある公立小学校の授業で、兵十の母親の葬式に集まった村人が大鍋で料理をしている場面をとりあげて、鍋の中で何を煮ているかを、児童たちに議論させたところ…

  • 死んだお母さんをお鍋に入れて消毒している
  • 昔はお墓がなかったので、燃やす代わりにお湯で煮て骨にしている
  • 昔は火葬場がないから、お湯で溶かして骨にしてから、お墓に埋めようとしている

といった回答が、まじめに発表されていたそうです(!)

今の子は土葬の風習を知らないのか…

煮沸消毒はコロナ禍で知ったのかな…

キンメの煮つけ好きなのかな…

なにはともあれ、今の小学生に読ませると、感動作品もただのオカルトになってしまうので、ご用心。

(選者:小林実)

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