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教育人文学部

読んではいけない「文学作品」


名作と言われて素直にそれをうけいれてしまって、本当によいのか? もしかしたら、社会に悪影響を及ぼす迷惑な作品かもしれない。そんな“迷作”リストを紹介します。リスト内容は随時追加されますので、時々のぞいてみてください。
2025年月10月22日 更新

志賀直哉「小僧の神様」

仙吉は神田のある秤屋の店に奉公している。

お金がなくて屋台の鮨を食べられなかった小僧さん(大店の下働きの少年)の姿を見た、奇特なお金持ちが、ある日彼を別の鮨屋に連れて行って、好きなだけ食べさせてやる。ところが、いいことをしたはずなのに、後味の悪い自己嫌悪を覚えるという、お金持ちの自意識がテーマとなっている作品。

そんな難しいことを考えなくても、おごってもらった小僧さんは感謝しているんだからいいじゃないかと思う私はガサツでしょうか…。

これは私の友人からきいた話ですが、夫婦の結婚記念日に、奮発して銀座の超高級鮨店に出かけたところ、通されたカウンターの隣の席で目が合ったのは、微醺をふくみながら、明らかに家族ではない若い女性と談笑していた勤め先の社長(!)

しどろもどろに挨拶したものの、見て見ぬふりするのも部下の務めと、あとはそ知らぬ顔して、出される鮨を機械的に口に運んでいたけれど、横が気になって味なんかしやしない。

やがて、「ではお先に」と腕を支えられながら社長が店を出ていき、もちろん残された友人は数万円の鮨代を自腹で支払ったわけです。

それ以来、彼は夜の銀座にだけは足を踏み入れないようにしているのだとか。

ということで、今回は「行ってはいけない鮨屋の話」でした。(選者:小林実)

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