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教育・学生生活

2023年1月


子育て講演会 「はらっぱ」におじゃましました2022! Part4!

2023年1月25日(水)に令和4年度 第4回 子育て講座「はらっぱ」が十文字女子大附属幼稚園で開催されました。
今年で15年目になる子育て講座「はらっぱ」は、十文字学園女子大学と十文字女子大附属幼稚園の共催となっており、附属幼稚園に大学から先生をお迎えして、附属幼稚園の保護者の方や地域の皆さんを対象に専門家のお話を聞ける講座となっております。参加費は無料。現地参加とオンラインの同時開催です!

「素材との触れ合い〜豊かな感性を育む〜」

【講義概要】イタリアのレッジョ・エミリア市の実践レポートの紹介を主軸に、子どもが生活の中で様々な素材に出会い、触れることの大切さ、地域企業との連携、造形活動や美術の担う意味について想いを共有したいと思っております。

【略歴】東京芸術大学大学院美術研究科卒。十文字学園女子大学専任講師

十文字学園女子大学 幼児教育学科 
専任講師 水島 ゆめ先生

小学校の図画工作の教科書や教師用指導書(教材セット)の監修もされている、水島先生。現在の小学校の図画工作の授業で何を子どもに学んで欲しいかを、分かりやすく説明してくださいました。また、先生が学ばれた現代美術についても、教えてくださいました。

今回の講義の主な内容

小学校学習指導要領(平成29年告示)解説

図画工作編 文部科学省 P1より 一部抜粋
・一人一人が持続可能な社会の担い手として、その多様性を原動力とし、質的な豊かさを伴った個人と社会の成長につながる新たな価値を生み出していくことが期待される。
→人口知能(AI)が飛躍的な進化をする中、人間にしか備わっていない能力を高める教育が期待される。

・人口知能がどれだけ進化し思考できるようになったとしても、その思考の目的を与えたり、目的のよさ・正しさ・美しさを判断したりできるのは人間の最も大きな強みであるということの再認識につながっている。
→AIにどんなプログラムを作るのか、どれが美しいか、何が正しいかを決まるのは人間。

人間にしか描けないと言われていた、独創的な絵も現在はAIで作れるようになってきた。結果だけを求めてもAIにはかなわなくなってきている。作成する過程の中で、何が面白いかや、他の人がどんなふうに作っているかなどを見て、それを認めあえるかなどが大切。
できあがった結果よりも、できるまでの過程を大切にする。
日常の生活の中で〇〇が良いな、〇〇が面白いなと思える感性を育てることが重要である。

十文字女子大附属幼稚園 園長 伊集院先生 と 水島先生

教師用指導書(教材セット)アートカード(素材カード/言葉カード)監修より

アートカード(素材カード/言葉カード)

水島先生が手掛けられた、アートカードがどのようなものか解説。
以前は、有名とされる代表作の絵などが教師用教材として使用されていたが、新たに五感を刺激するような、写真などのカードを教師用教材に加えた。
完成された絵だけでなく、日常の中にも面白さを見つける。美術=視覚が中心になっていたが、音・におい・味・素材・さわりごこちなど、五感を大切にする。

イタリア/レッジョ・エミリア市の実践例

世界の中で革新的な幼児教育をしているといわれる、イタリアにある、レッジョ・エミリア市。それを支える地域の施設として、存在するマテリアルセンターの紹介。
・木の枝や葉っぱ、土、砂、木の実、貝殻などの自然素材
・ボタンやプラスチック製品、ガラス、金属の破片、針金、電子部品の一部などのメカニカルな素材
使用用途が決められた「おもちゃ」や「器具」とも違う、いろいろな素材が保管されている倉庫がある。

動画の紹介
・色は全部黒だが、ツルツル・ざらざら・イボイボ・フワフワ・硬い・やわらかいなど質感の違う床や板などの中で赤ちゃんが遊ぶ動画。
・先生との会話の中で、素材の違いなどを確かめながら遊ぶ動画。水に濡らしたりして遊ぶ動画。
・自然の中で、そこでしか見つけられない、色や質感など。ふるいにかけてみたり、砕いてみたり、手でさわって、混ぜてみて、子どもが遊ぶ動画。

ワーク1:光を変えて素材と向き合う

・部屋の電気を消す/カーテンを閉める。
・スマートフォンのライトや懐中電灯を使って物を見てみよう。

現代美術について

作品名『泉』

マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp、1887年7月28日 - 1968年10月2日)は、フランス生まれの美術家。20世紀美術に決定的な影響を残した。
コンセプチュアル・アート、オプ・アートなど現代美術の先駆けとも見なされる作品を手がけた。
なかでも、普通の男子用小便器に「リチャード・マット (R. Mutt)」という署名をし、『泉』というタイトルを付けた作品(1917年制作)は、物議をかもした。

自分で作りあげたものではなく、身近にありふれた物を、別の角度からみる芸術。



ロバート・ラウシェンバーグ(Robert Rauschenberg, 1925年10月22日 - 2008年5月12日)は、20世紀のアメリカの美術家。

いろいろな物質を組み合わせ、ひとつの作品とする。写真と写真を組み合わせたり、日常にある素材をどう組み合わせるか。

ワーク2:ホワイトペインティング

・真っ白い紙を用意する。
・自分だけの特別な白い紙にしてみよう。

ただの白い紙だが、例えば、100人がキスをした紙。推しがさわった紙。有名な画家が描いたものを、時間をかけて消しゴムで消した白い紙など。
作成した過程に物語がある。何でもないものに、どう付加価値をつけられるか。

最後に、他人の価値の中で生きると苦しくなる。どこにでもあるものに、自分だけの価値を与えて、自分なりの面白さを見つけ、他人の良し悪しに振り回されず生きられる力が大切である。