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教育・学生生活

2023年11月


子育て講演会 「はらっぱ」におじゃましました2023! Part3!

2023年11月17日(金)に令和5年度 第3回 子育て講座「はらっぱ」が十文字女子大附属幼稚園で開催されました。
今年で16年目になる子育て講座「はらっぱ」は、十文字学園女子大学と十文字女子大附属幼稚園の共催となっており、附属幼稚園に大学から先生をお迎えして、附属幼稚園の保護者の方や地域の皆さんを対象に専門家のお話を聞ける講座となっております。参加費は無料。現地参加とオンラインの同時開催です!

「幼児期から児童期への教育 」

幼児教育学科
桶田ゆかり先生

【講義概要】「幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの(教育基本法)」であり、幼稚園教育は「環境を通して行うもの」であることを基本としています。つまり、幼稚園は遊ぶところ。幼児は環境に自ら関わる「遊び」を通して「学習」しています。生き生きと遊んでいる子どもの姿は微笑ましいけれど、遊んでばかりで何が育っているの? 小学校にいって大丈夫? その不安・疑問にお応えできればと思います。

【略歴】玉川大学文学部教育学科卒 聖徳大学教職大学院教職研究科教育実践専攻修了 教職修士(専門職) 専門は保育学・幼児期の安全教育 東京都公立幼稚園の担任・教頭・園長を経て本学に着任 東京都国公立幼稚園・こども園長会元会長 平成29年の幼稚園教育要領改訂に関わり、各教育委員会の依頼により幼児教育の不易と流行について講演を行っている。
 当日は雨の中、長く続いた暑さで、寒さが身に染みるような天気でしたが、たくさんの方にご来場、またZOOMでご参加いただきました。在園児の保護者だけでなく、近隣の方や、来年入園予定の保護者の方にもご参加いただき、桶田先生のお話のテーマに多くの方が関心を寄せていると感じました。内容の一部をご紹介いたします。

今回の講義の主な内容

1. 幼稚園教育とは
2. 幼稚園教育と小学校教育の違い
3. 幼児期にふさわしい生活(幼稚園教育における不易)
4. 幼児期の教育を充実させるために(幼稚園教育における流行)
 (1)幼児園教育において育てたい資質・能力
 (2)幼児期の終わりまでに育ってほしい姿
5. まとめ


1.幼稚園教育とは

「幼児の自発的な活動としての遊びは、心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習であることを考慮して、遊びを通しての指導を中心として第2章に示すねらいが総合的に達成されるようにすること。」 
幼稚園教育要領 幼稚園教育の基本として重視する事項より
 幼児園教育要領にもあるように、園の生活は遊びが中心である。
遊びは、幼児の自発的活動・心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習である。猫になりたい! 電車の運転手になりたい! 縄跳ができるようになりたい!など自分なりの目的をもち、イメージを膨らませたり、試行錯誤や挑戦をしたりする。その中で、友達と関わり、友達からの刺激を受けながら、関わり方を学んでいく。それを支えるのは、大人である保護者や保育者であり地域である。子どもが伸び伸びと自身の力を発揮するには信頼感(安心感)が大切である。
 ハサミの使い方など個の力を伸ばしたり友達との関わり方を学んだりする課題活動(みんなが取り組む活動)と、友達との新しい遊びを経験したり友達関係を深めたりする集団活動(みんなで取り組む活動)を経験すること通して、遊びの幅を広げていく。中心はあくまで〝遊び〟である。

2.幼稚園教育と小学校教育の違い

〇幼児教育・・・無自覚な学び(学びの芽生え)
「環境を通して行うことを基本とする」
幼児の自発的な活動としての遊びが、心身の調和のとれた発達の基礎を培う重要な学習である。
遊びを通して総合的に学ぶ。

 例えば、砂場遊びを通して、砂に水を混ぜると硬くなる!手触りが変わる!砂の上に水はこんなふうに流れるんだ!これを使って、もっと他のことをしてみよう!など遊びを膨らませながら、学んでいく。幼児は学んでいるという自覚はない。遊びを楽しんでいる。
〇小学校教育・・・自覚的な学び
教科を中心とした学び。学習目標や学習内容を理解し、知識やスキルを獲得し、活用したり構造化したりする。

 例えば、月曜の1時間目は国語の時間。今日の算数はかけ算の〇の段をする。など、子どもたちは勉強をするという自覚・意識がある。
幼児教育と小学校教育には、いろいろな段差がある。
3つの段差
 園から小学校へ入学する際に子どもが乗り越えるもの
 〇生活の段差・・・遊び中心のチャイムのない生活 ⇒ 時間割による生活
 〇指導の段差・・・環境に関わる中での援助 ⇒ 授業時間の中での指導
 〇学びの段差・・・子どもの周囲の環境・遊びを通しての学び ⇒ 教科書を通しての学び


 子どもたちに段差は必要である。なぜなら、段差を乗り越えることに自分の成長を感じるからである。しかし、小学校生活に慣れさせることを優先すると、その段差が大きくなり、子どもたちの負担になってしまう。
架け橋期の教育
 子どもたちの成長をつなぐため、「幼小の接続」の強化が言われている。幼児教育・小学校教育と分けるのではなく、5歳児~小学1年生の2年間を1つのまとまりとして考え、幼小が協力して、架け橋期のカリキュラムを作成していくことが求められている。

3.幼児期にふさわしい生活(幼稚園教育における不易)

幼稚園教育要領等の改訂 (継続すること・変えられないもの・変えてはいけないもの)
「幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼稚園教育は、学校教育法に規定する目的及び目標を達成するために、幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うものであることを基本とする。」
幼稚園教育要領 第1章総則 第1幼稚園教育の基本
 環境が大切である。一人ひとりの子どもに合った内容を、先生が用意するだけでなく、遊んでいる子どもの姿を見て、遊具を増やしたり、子どもの遊びが豊かになるように先生が援助したりしながら、環境を作っていく。

4.幼児期の教育を充実させるために(幼稚園教育における流行)

(1) 幼稚園教育(幼児教育)において育みたい資質・能力
知識及び技能の基礎(何を理解しているか・何ができるか)
思考力・判断力・表現力等の基礎(理解していること・できることをどう使うか)
学びに向かう力・人間性等(どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか)


(2) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿
健康な心と体 … 充実感がもてる生活、見通しがもてるようになる
自立心 … 諦めずにやり遂げる
協同性 … 共通の目的に向かって、考えたり工夫したり協力したりする
道徳性・規範意識の芽生え … 規則など守る必要性が分かる。(怒られるから従うではだめ)
社会生活との関わり … 人の役にたつ喜びを感じる
思考力の芽生え … 自分で考えるだけでなく、友達の考えに気付き、よりよいものにしていく
自然との関わり・生命尊重 … 好奇心・探究心といった知的な部分と命の大切さ
数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚 … 子ども自身の必要感から活用することが大切
言葉による伝え合い … 話すだけでなく、人の話を聞く経験も大切 
豊かな感性と表現 … 表現の過程を楽しむことが大切    など

5.まとめ

 ・充実した園生活が小学校教育につながる
  たっぷりと遊ぶ
  体と心と頭を使って遊ぶ

 ・自信をもち、憧れをもって小学校へ
 ・それを支えるのが大人の役割

 ・発見する楽しさ(子どものこと・生活の中での出来事)
 ・心が通じ合う楽しさ

 ・時には片目をつぶり(気になることばから見ないで)
  その片目も細くして

 ・時には、両目・両耳・両手でしっかりと抱きしめよう
  それをパワーとして、子どもたちは小学校へ羽ばたく